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新着情報

25.06.20

2024年9月、台湾の明志科技大学×宮城大学でサーキュラーデザインの可能性を考える国際USRワークショップを実施しました

台湾の明志科技大学(MCUT)と宮城大学(MYU)は、2024年に学術・研究協力に関するMOUを締結し連携を深めています。両大学は、2024年より共同で国際USR(大学が教育・研究活動を通じて、社会の持続可能な発展に貢献する)プロジェクトに取り組んでいます。このプロジェクトは、台湾と日本が直面する海洋廃棄物-特に漁業廃棄物と貝殻の問題に対し「デザイン思考」をキーワードに学生・教員・産業・地域の連携を図り、国際ワークショップを通じて持続可能な解決策を模索することを目的としたものです。宮城大学からは、デジタルファブリケーション技術を用いて、都市・建築デザインそしてプロダクトデザインについて新しい材料の使われ方、工法、デザインのかたち、循環型社会のあり方を研究する事業構想学群益山詠夢准教授が参画しています。

浦戸諸島の地域課題解決を通して、サーキュラーデザインの可能性を考える
テーマ「捨てられた貝殻で、宮城県の活性化に貢献するために何ができるのか?」

国際ワークショップは、2024年~2025年にかけて実施中です。台湾と日本は、ともに漁業活動が盛んな地域ですが海洋廃棄物、特に漁業廃棄物が深刻な環境問題となっています。海洋廃棄物の成分の91.1%はプラスチック素材が占めており、これはマイクロプラスチックとなって食物連鎖に侵入し、沿岸生息地の破壊や観光・アウトドア活動によるゴミ汚染も引き起こしています。このような海洋廃棄物問題をフィールド調査しながら、循環型経済について共に学び、解決策を共に考えます。2024年のワークショップは、9月17日~23日の間、宮城大学大和キャンパスで開催。明志科技大学から4名の学生が、宮城大学からは10名の学生が参加しました。

今回のワークショップでは、宮城県塩竈市の松島湾の湾口部にある浦戸諸島をフィールドとし、浦戸諸島の地域課題解決を通してサーキュラーデザインの可能性を考えました。従来の「取る・作る・捨てる」という線形経済に代わり「ソーシング」段階と「廃棄物」段階をつなぎ、廃棄物を直接材料に変換し生産プロセスに戻す:サーキュラーデザインの考え方を取り入れるため、「捨てられた貝殻で、宮城県の活性化に貢献するために何ができるのか?」という課題を設定。台湾・日本の学生・教員らでともに取り組みました。 ワークショップは、オリエンテーション、浦戸諸島へのフィールド調査、デザイン思考ワークショップ、プロトタイピング、成果展示で構成されています。

オリエンテーション

サーキュラーデザインやデザイン思考を通じたワークショップのプロセスについて担当教員からレクチャーを行い、宮城大学大和キャンパスのキャンパスツアーと、これからグループワークを行うメンバーによるアイスブレークを実施しました。また、益山研究室学生から、浦戸諸島の紹介を英語で行い、翌日のフィールド調査に向けたグループディスカッションを行いました。 

フィールド調査

浦戸諸島・寒風沢島の牡蠣処理所を参加者らで訪問。牡蠣むきばの機械の設備、廃棄されアタ牡蠣殻などを視察し、現地で働く漁師・地域住民から直接牡蠣養殖についての現状をヒアリングしました。

デザイン思考ワークショップ・プロトタイピング

今回は、浦戸で生活する人々やコミュニティをユーザーとして設定。共感マップやペルソナ作成を通じて、ユーザー理解を深め、グループディスカッションを通じて寒風沢島の牡蠣養殖に携わるコミュニティに必要なプロダクト、サーキュラーフローをグループごとに考えました。また、段ボールや木材、3Dプリンティング技術用いて、それらコンセプトを表現するためのスケッチモデル/プロトタイプを作りました。

成果展示

一般市民や関係者に向けて、プロジェクトの成果をまとめ、フィールド調査からデザイン提案までの全プロセスを展示しました。※WS終了後に台湾にて実施。

ワークショップに参加した酒井治大さん (当時事業構想学群4年生、現在事業構想学研究科博士前期課程1年生1)は「ワークショップに参加し、台湾の学生と寒風沢島にリサーチに行き、実際に島の現状と問題点を知った上でプロジェクトに取り組むことで自分たちが考えにリアリティが生まれました。国や言語が異なる生徒たちと国際的な交流を通して取り組むことで、私たちにはない視点からも思考することができました。ここで考案したプロジェクトが学内のコンテスト『でるコン』で賞を受賞することもできました。刺激的な出会いと短期間ではありながら充実した経験を得ることができたことにとても感謝しています。昨年の経験を活かして、今年も明志科技大学と共に良いプロジェクトを作り上げていけることを楽しみにしています」とコメントしています。 

2025年のワークショップは、9月に台湾で9日間、日本で5日間の開催を予定しており、海洋廃棄物の持続可能な再生計画として、漁業廃棄物(廃棄漁具や生物の殻を含む)の管理と資源化応用に焦点を当て、「海洋廃棄物の持続可能なリサイクルの可能性」を探求する予定です。

開催概要

タイトル 台湾の明志科技大学(MCUT)と日本の宮城大学(MYU) USR 国際ワークショップ
開催期間 2024年9月17日~23日
(予定) 2025年9月9日間(台湾)、5日間(日本)
内容 フィールド調査 (Field Research)、デザイン思考ワークショップ、プロトタイピング (Prototyping)、成果展示 (Projects Exhibition)
参加対象 主として明志科技大学工業デザイン学科および宮城大学事業構想学群の教員・学生
協力機関 明志科技大学管理設計学院 (MCUTCMD) 、宮城大学事業構想学群 (MYUPD)
主催 明志科技大学・宮城大学
担当教員 頼宛吟(Wan-Ying Lai)准教授(明志科技大学工業設計学科)、益山詠夢 (Emu Masuyama) 准教授(宮城大学事業構想学群)

明志科技大学について

明志科技大学(めいしかぎだいがく、Ming Chi University of Technology)は、台湾新北市にある私立大学で、清の乾隆年間に胡焯猷によって設立された明志書院の跡地付近にキャンパスを持ちます。1963年に台湾プラスチックグループ(Formosa Plastics Group)の創業者である王永慶が設立した大学であり、環境や工学の学部が有名で、現在は工学部・環境学部・管理及びデザイン学部の3学部で構成されています。学生数は約4000名、台湾の企業や会社と連携を取り、実践力を大切にしています。

担当教員プロフィール

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