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23.10.10
10/12-11/1宮城県初!宮城県産梨と山形県産ブドウを 海上輸送で仙台港→シンガポールに輸出する実証実験を実施
食産業学群兼田朋子准教授(食品保蔵学研究室)は、青果物の海上輸出実現に向けた品質保持技術の研究を行っており、国産青果物の「海上輸送」を実現するため、効率的輸送システム・品質保持技術の開発などを行っています。このたび、食品保蔵学研究室の技術指導により、株式会社仙台水産、JA全農みやぎおよび宮城県による宮城県初の事例となる「仙台港」を活用した「宮城県産梨と山形県産ブドウの混載海上輸出」の実証実験を行いますのでご案内いたします。
メディア向けリリース |
ポイント
- 現在、青果物輸出の大半は航空便で行われているが、低コスト輸送が可能な海上輸送へのシフトが求められている。海上輸送で国産青果物を輸送するためには、東南アジア向けでは3週間程度の長期品質保持技術の確立が課題である。
- 3月の香港向けイチゴ海上輸出試験での成功経験を活かし、より遠方で温度管理の難しい赤道直下のシンガポールに向けた梨・ブドウの海上輸送に挑戦するにあたり、食品保蔵学研究室が温湿度、振動衝撃対策といった流通環境管理や、機能性包装を活用した長期間品質保持技術の指導を行った。また、海上輸送の大きな課題である「コンテナのフル充填」解決に向け、青果物の産地(県域)・品目を限定しない混載輸送にチャレンジする。
- モーダルシフトが求められる中、今後、東北地域の海上物流拠点である仙台港の役割はさらに大きくなっていく。輸出向け青果物の品質保持技術の開発を地域と連携して進めることは、宮城県だけでなく東北地域の青果物輸出拡大に寄与するとともに、栽培面積の拡大や生産者の収益増大、ブランド力向上につながることが期待できる。
輸出スケジュール(★:公開、取材可能部分)
月日(予定を含む) | 場 所 | 内 容 |
---|---|---|
10月12日(木) | JA全農みやぎ 園芸・生産振興部 (仙台市若林区卸町5丁目1-8) | ★ 輸出用品質保持パッキング(8:00~) ★ リーファーコンテナ積み込み(14:00頃~) ★ コンテナを仙台港に陸送(15:00頃~) |
10月13日(金) | 仙台港(仙台市宮城野区中野) | 輸出通関 |
10月16日(月) | 仙台港(仙台市宮城野区中野) | 仙台港出港(フィーダー船) |
10月21日(土) | 横浜港(横浜市) | 横浜港出港(外航船) |
10月30日(月) | シンガポール港 | シンガポール港到着 |
10月31日(火) | シンガポール港 | 貨物受取り、着荷状況の確認 |
11月1日(水)頃~ | シンガポール | 販売開始(現地小売店、飲食店等) |
本リリースに関するお問い合わせ
事務局企画入試課企画広報G 中木
電話:022-377-8217、メール:kouhou@myu.ac.jp
高品質な日本の青果物を海外の消費者へ
大量・低コスト輸送が可能な海上輸送への
シフトが求められている
日本の農林水産物・食品における輸出総額の約7割を農産物(加工品含む)の輸出が占めており、今後の需要はさらに高まっていくことが推察されます。現状は、短時間・小ロットの航空輸送が主流ですが、一括大量輸送・低コストの海上輸送へのシフトが求められています。海上輸送には輸送に時間がかかるため、東南アジア向け輸出でも棚もち(出荷後、消費者の手に渡るまでの期間)を含め3週間程度の品質保持が求められ、その技術の確立が課題です。
目指すは東南アジアの玄関口、赤道直下のシンガポール
異なる性質を持つ複数の青果物を混載し、3週間の品質保持を目指す
3月のイチゴ香港向け海上輸出試験に続き、今回は秋の味覚、梨(新高)およびブドウ(シャインマスカット)を熱帯の国、シンガポールの消費者に美味しく味わっていただくための品質保持技術を室内試験であらかじめ確認し、最適な輸送方法を確立しました。梨とブドウは品目が異なるだけはなく、生理的・物理的特性が大きく異なります。これらを同じコンテナを使って同条件で輸送するためには、一定の工夫が必要です。
出典:宮城県プレスリリース資料
低コスト・効率的輸送がメリットとされる海上輸送には「コンテナのフル充填」を実現する、という課題があります。それを解決するために、今回は宮城産品にこだわらず、昔から「仙山交流」でゆかりのある山形県のブドウを混載することで、梨、ブドウいずれの品質も保ちつつ、コンテナの充填率向上を図ることにチャレンジします。将来的には東北地域全域の青果物を混載し、東北の海上ハブ港「仙台港」から世界へ向け輸出することが目標です。
株式会社仙台水産
株式会社仙台水産は、仙台市若林区に事業所を置く水産物専門商社です。生鮮卸売業から、食をトータルに捉えた「食文化提案企業」を目指し、市場の主導的役割を果たしながら、商品の企画・開発、小売店・量販店への提案や商談を行う「食文化提案企業」として、食をトータルに捉えた多面的な事業を展開しています。
全国農業協同組合連合会宮城県本部(JA全農みやぎ)
全農はJAグループの中で、農畜産物の販売や生産資材の供給といった経済事業を担う組織です。 経済事業を通じて生産者と消費者を結び、産地や地域社会の活性化、環境の保全に取り組んでいます。JA全農みやぎでは、生産コスト削減に向けた自己改革、生産基盤の確立、担い手対応の強化、そして食のトップブランドとしての地位の確立やJAにおける営農経済事業の収益力向上・収支改善等に取り組んでまいります。
仙台あおば青果株式会社
仙台市中央卸売市場・青果部で唯一の卸売業者である「仙台あおば青果株式会社」は、仙台・宮城・東北の皆さまに安全・安心な青果物を安定的にお届けすることを使命としています。
流通の複雑化が進む中、産地との連携を強化し、新鮮で、安全・安心な青果物を安定的に供給することで、安全で安心な新鮮青果物物流・卸販売を通じ、産地と消費者の絆となり地域社会に貢献しています。
研究者プロフィール
・兼田 朋子(かねた ともこ):食産業学群 准教授
食品、特に青果物の貯蔵・輸送性向上に関する研究を通じ、高品質の食品を消費者に届けるほか、SDGsやSociety 5.0の目標の一つでもあるポストハーベストロスの低減を目指します。また、近年では青果物の海上輸出を実現する為の品質保持技術の確立にも取り組んでいます。