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23.04.27

宮城県初!海上輸送によるイチゴの香港向け輸出に成功 一括大量輸送・低コスト輸送が可能に

食産業学群の兼田朋子准教授 ( 食品保蔵学研究室 ) は,青果物の海上輸出実現に向けた品質保持技術の研究を行って
おり,国産青果物の「海上輸送」を実現するため,効率的輸送システム・品質保持技術の開発などを行っています。このたび,株式会社仙台水産,JA 全農みやぎおよび宮城県によるイチゴの海上輸出実証実験について,食品保蔵学研究室の技術指導により,宮城県初の事例となる「仙台イチゴの海上輸出」に成功しましたのでご案内いたします。

プレスリリース
【宮城大学食品保蔵学研究室・仙台水産・JA全農みやぎ・宮城県】

宮城県初!海上輸送によるイチゴの香港向け輸出に成功

一括大量輸送・低コスト輸送が可能に

ポイント

  • 現在,青果物輸出の大半は航空輸送で行われているが,低コスト輸送が可能な海上輸送へのシフトが求められている。海上輸送で国産青果物を輸送するためには,アジア向けでは 2 週間程度の品質保持技術の確立が課題である。
     

  • ㈱仙台水産が主体となり,香港に向けたイチゴ(宮城県産育成品種:もういっこ,にこにこベリー)の海上輸送に挑戦するにあたって,食品保蔵学研究室が徹底した低温管理や機能性包装を活用した長期間品質保持技術の指導を行った。
     

  • 2月~3月に,イチゴ1,280 パックに機能性包装を施し,1℃に設定した流通網で輸出実証試験を行い ( 流通期間:16 日間 ),航空輸送に引けを取らない品質を保持した状態のイチゴを香港に着荷。香港内 5 か所の小売店での販売に結びつけた。
     

  • 今後,これまでの主流であった航空輸送から,輸送コストの低減が可能な海上輸送へのシフトが進み,宮城県産イチゴの輸出拡大に寄与するとともに,栽培面積の拡大や生産者の収益増大,宮城県産イチゴのブランド力向上につながることが期待できる。

高品質な日本の青果物を海外の消費者へ
大量・低コスト輸送が可能な海上輸送へのシフトが求められている

日本の農林水産物・食品における輸出総額の約 7 割を農産物 ( 加工品含む ) の輸出が占めており,今後の需要はさらに高まっていくことが推察されます。現状は,短時間・小ロットの航空輸送が主流ですが,一括大量輸送・低コストの海上輸送へのシフトが求められています。海上輸送には輸送に時間がかかるため,東南アジア向け輸出でも棚もち(出荷後,消費者の手に渡るまでの期間)を含め 2 週間程度の品質保持が求められ,その技術の確立が課題です。

宮城県内では初の事例となるイチゴの海上輸出
品質保持に効果が認められる機能性包装を実施

株式会社仙台水産,JA 全農みやぎ,宮城県,宮城大学が協働し,宮城県内では初の事例となるイチゴの海上輸出を行いました。JA みやぎ亘理管内で収穫されたイチゴ ‘もういっこ’ ‘にこにこベリー’ 1,280 パックを,16 日間かけ船舶で香港に向け海上輸出。収穫後から販売まで徹底した低温管理を行い,イチゴには品質保持に効果が認められる機能性包装を施しました。香港に到着したイチゴは,航空便輸出品に劣らぬ品質を維持しており,現地バイヤーの評価も上々で,香港内 5か所の小売店で販売されました。今回の成功は,今後の宮城県産イチゴの輸出拡大や栽培面積・生産者の収益拡大,宮城県産イチゴのブランド力向上に貢献するものであり,全国に先駆けて宮城県産青果物の輸出流通手段を海上輸送にシフトしていく可能性を生み出しています。

本リリースに関するお問い合わせ

事務局企画入試課企画広報G 中木
電話:022-377-8217,メール:kouhou(a)myu.ac.jp
※メールの際は(a)を@に変えてご利用ください。

株式会社仙台水産

株式会社仙台水産は,仙台市若林区に事業所を置く水産物専門商社です。生鮮卸売業から,食をトータルに捉えた「食文化提案企業」を目指し,市場の主導的役割を果たしながら,商品の企画・開発,小売店・量販店への提案や商談を行う「食文化提案企業」として,食をトータルに捉えた多面的な事業を展開しています。

全国農業協同組合連合会宮城県本部(JA全農みやぎ)

全農はJAグループの中で,農畜産物の販売や生産資材の供給といった経済事業を担う組織です。 経済事業を通じて生産者と消費者を結び,産地や地域社会の活性化,環境の保全に取り組んでいます。JA全農みやぎは,生産コスト削減に向けた自己改革,生産基盤の確立,担い手対応の強化,そして食のトップブランドとしての地位の確立やJAにおける営農経済事業の収益力向上・収支改善等に取り組んでいます。

研究者プロフィール

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