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23.07.30
地域が抱える課題の発見とその解決に取り組む「地域フィールドワーク」を宮城県内5市町で実施しました
「地域フィールドワーク」は、全学を対象にしたフレッシュマンコアの必修科目で、地域の自然・歴史・文化等を学びながら、地域社会の将来に対する使命感を涵養し、これからの主体的な学びに向けた動機づけとなることを目標としています。今年度は4日間の行程にわたって447名の学生が受講し、宮城県内の大崎市、女川町、塩竈市、村田町、亘理町の5つの市町をフィールドとして、自治体の全面的な協力のもと現地フィールドワークを行いました。
地域協働学習と自己の学び・地域特性の把握と事前学習への取り組み
1日目/ガイダンス(5月10日)
初回の講義では、地域フィールドワークの位置づけや意義を確認し、地域へ訪問する際の心構えやマナー等、フィールドワークのリテラシーを習得。また、それぞれの地域の特徴や見所について自治体職員から説明を受け、学生たちは各自の興味関心に基づいたフィールドワークにおけるテーマの設定を行いました。
2日目/フィールドワーク(5月31日・6月7日)
2日目の授業では、クラス単位に分かれ、大崎市、女川町、塩竈市、村田町、亘理町でフィールドワークを実施。学生は地域を自分の足で実際に歩くことで、インターネットや文献の事前調査では知ることができなかった、地域の特徴や課題等を確認することができます。フィールドワーク後はグループごとに調査をふりかえり、得られた成果や課題等を確認・共有しました。
フィールドワークについて
災害復興とその先のまちづくりを学ぶ/女川町
女川町では、復興指針である「持続可能な町・コンパクトシティ」の実現に向け人口減少を見据えたエリアマネジメントに取り組んでいます。商業施設が立ち並ぶシーパルピア女川・地元市場ハマテラスを中心とした駅前の散策や、震災遺構である旧女川交番の見学を通し、東日本大震災からの復興プロセスや、まちの再生に込められた思いに触れ、災害復興とその先のまちづくりの展望について学ぶ機会となりました。
震災の経験と歴史を生かしたまちづくりの現場を知る/塩竈市
塩竈市では、東日本大震災発災後の7日間を中心に記録を展示する「津波防災センター」の見学、開園から30年以上が経過し再整備が検討される「伊保石公園」、歴史的な景観を有する「鹽竈神社」「門前町(西町・本町周辺)」を散策しました。公共施設の整備プロセスからまちづくりとの行政の関わりを知るほか、震災の経験を踏まえ、歴史ある景観の活用・保全に取り組む住民の活動や思いに触れ、まちづくりへの多様なアプローチのあり方を学ぶ機会となりました。
温泉資源のある風景から地域住民の生活を捉える/大崎市鳴子
大崎市鳴子温泉地域は、豊かな温泉資源によって湯治場として栄えてきました。午前中には、こけし工人から鳴子こけしの歴史や特徴について、また、カルデラ湖である潟沼において、ボランティアガイドを行う住民の方から鳴子温泉の特徴や地名の由来・伝承について、レクチャーをいただきました。午後からは、鳴子温泉駅周辺の商店街等を散策し、住まいと仕事が近接する生活の様子を捉え、現地に足を運ぶことで見えてくる視点や気づきを得る時間となりました。
蔵の町に息づく文化・歴史から生活を考える/村田町
村田町の本町および荒町周辺は、土蔵造りの建物が並び、県内で唯一の伝統的建造物群保存地区に指定されています。歴史みらい館や蔵の町並みを見学し、昔ながらの味噌店や酒店、カフェや雑貨店を巡りました。商店の店主や地域おこし協力隊、行政等の様々な方々から、土蔵の文化や歴史、景観を後世に繋いでいくための活動や産業、まちづくりの実態を学んだうえで、地域での「生活」を考えました。
地域でチャレンジを続ける人々から多様な生き方を学ぶ/亘理町
亘理町では, 地域の豊かな海を舞台として交流人口を呼び込む非営利組織代表や、本学の卒業生である果樹農家から、震災などのきっかけからチャレンジを続ける生き方と数々のチャレンジについて話を伺いました。その後、鳥の海公園がある荒浜地区にて、学生チームごとに自由散策を行い、それぞれの興味関心に基づき、地域の方々に震災やコロナ禍後を見据えた今後のまちづくりなどお話を伺いました。震災や復興完了のタイミングでのコロナ禍など、様々な困難に直面しつつも、それでも地域の営みは続いていく様子を学ぶことができました。
3日目/「フィールドワークのまとめ」作成/共有に向けたブラッシュアップ(6月7・14日)
3日目の授業では、前回の授業で実施したフィールドワークのふりかえりを行い、最終講義で行われる「フィールドワークのまとめ」報告会に向けて、背景、目的、調査結果、分析、及び分析結果をまとめた成果物を作成する方法を学びました。学生は最終講義までに、自身の成果物をブラッシュアップし最終講義に挑むことになります。
4日目/提案の手法とスキルについて/「フィールドワークのまとめ」共有(7月5日)
最終日に行われた成果報告会では、各自治体の関係者が参加しました。まずは、学生がそれぞれに作成したフィールドワークの成果をまとめたスライドをペアで発表し、フィールドワーク時の視点の多様さを共有するとともに、各学群の代表者によって成果報告のプレゼンテーションが行われました。自治体関係者からの講評では「第三者が地域にどのような眼差しを向けているのか知ることができた」等のコメントがありました。学生たちも、ほかの学生による課題把握の仕方やプレゼンテーション手法等について気づきを得ました。
今年度の「地域フィールドワーク」の開講にあたり、大崎市、女川町、塩竈市、村田町、亘理町の各自治体職員の皆様、並びに関係者の皆様をはじめ、多くの方々に御協力、御尽力を頂きました。この場をお借りして、心より厚く御礼申し上げます。
開催概要
令和5年 5月10・31日、6月7・14日, 7月5日(すべて水曜日)
日付 | 講義題目 | 講義概要・主なフィールドワーク場所 |
---|---|---|
5月10日 | ガイダンス、フィールドワークのテーマ設定 | ガイダンス、フィールドワークテーマの設定 |
訪問自治体について | 自治体紹介、地域特性の把握 | |
5月31・6月7日 | 現地FW | 大崎市:鳴子温泉駅前周辺ほか地域内各地 |
塩竈市:鹽竈神社・門前町周辺ほか市内各地 | ||
女川町:シーパルピア女川ほか町内各地 | ||
村田町:歴史みらい館・蔵の町並みほか各地 | ||
亘理町:鳥の海公園、ふれあい市場ほか町内各地 | ||
6月7日・14日 | フィールドワークのふりかえり | フィールドワークのふりかえり、フィールドワークのまとめの作成 |
7月5日 | フィールドワークのまとめ発表 | 自治体職員へフィールドワークのまとめを発表 |
お問い合わせ
公立大学法人 宮城大学 地域連携実践教育推進室(大和キャンパス)
TEL:022-377-8659 / FAX:022-377-8669
<参考>
- 地域が抱える課題の発見とその解決に取り組む「地域フィールドワーク」<2023年度>
- 地域が抱える課題の発見とその解決に取り組む「地域フィールドワーク」<2022年度>
- 地域が抱える課題の発見とその解決に取り組む「地域フィールドワーク」<2021年度>
- 地域フィールドワーク・エクストラを実施「地域フィールドワーク」<2020年度>
- 地域が抱える課題の発見とその解決に取り組む「地域フィールドワーク」<2019年度>
- フレッシュマンコア[全学群共通・必修]
- コミュニティ・プランナープログラムとは