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24.08.25
地域が抱える課題の発見とその解決に取り組む「地域フィールドワーク」を宮城県内5市町で実施しました
「地域フィールドワーク」は、全学を対象にしたフレッシュマンコアの必修科目で、地域の自然・歴史・文化等を学びながら、地域社会の将来に対する使命感を涵養し、これからの主体的な学びに向けた動機づけとなることを目標としています。今年度は4日間の行程にわたって446名の学生が受講し、宮城県内の女川町、塩竈市、大崎市、加美町、石巻市の5つの市町をフィールドとして、自治体の全面的な協力のもと現地フィールドワークを行いました。
地域協働学習と自己の学び・地域特性の把握と事前学習への取り組み
1日目/ガイダンス(4月24日・5月15日)
初回の講義では、地域フィールドワークの位置づけや意義を確認し、地域へ訪問する際の心構えやマナー等、フィールドワークのリテラシーを習得。また、それぞれの地域の特徴や見所について自治体職員から説明を受け、学生たちは各自の興味関心に基づいたフィールドワークにおけるテーマの設定を行いました。
2日目/フィールドワーク(5月29日・6月5日)
2日目の授業では、クラス単位に分かれ、女川町、塩竈市、大崎市、加美町、石巻市でフィールドワークを実施。学生は地域を自分の足で実際に歩くことで、インターネットや文献の事前調査では知ることができなかった、地域の特徴や課題等を確認することができます。フィールドワーク後はグループごとに調査をふりかえり、得られた成果や課題等を確認・共有しました。
フィールドワークについて
城下町の歴史を活かしたまちづくりを考える/大崎市岩出山
大崎市岩出山地域は、政宗公の居城があった「岩出山城址(城山公園)」、岩出山伊達家が開設した学問所「旧有備館及び庭園」、竹細工職人の実演を見学できる「竹工芸館」、酒造店や菓子店などが建ち並ぶ「岩出山商店街」など地域の歴史を活かした観光資源が豊富です。学生たちは市内を散策し、これらの観光振興の実態、竹細工職人の竹とんぼづくりの実演、商店街の方々からのインタビューを通して、地酒や酒まんじゅう、伝統工芸品の竹細工といった地場産品が豊富にあるという地域の強みや、各商店や地域の取り組みをPRする必要がある課題を体感し、城下町ならではの地域資源を活かしたまちづくりについて、主体的に考える機会となりました。
地域特性を活かした住民のまちづくり活動から地域の運営を知る/加美町
加美町は、2003年4月に中新田町・小野田町・宮崎町が合併し誕生した町です。学生たちは、旭地区(旧宮崎町)で取り組まれている地域運営組織の活動や閉校舎の利活用が検討される旧旭小学校を見学し、その後中新田地区商店街(旧中新田町)周辺を散策しました。地区ごとに継承されてきた歴史・文化等の特性を感じるとともに、住民・商店主の方々の地域に対する思いや愛着を持って自らの手で試行錯誤しながら取り組むまちづくりの様子に触れ、地域コミュニティや暮らしがどのように営まれているのかという視点から気づきを得る時間となりました。
災害復興のまちづくりと健康づくりへの想いに触れる/女川町
女川町では、「持続可能な町・コンパクトシティ」の実現に向け人口減少を見据えたエリアマネジメント、健康講座や飲食店での健康メニュー開発等を通した町民の健康づくりに取り組んでいます。学生たちは、シーパルピア女川を中心とした駅前の散策、震災遺構の旧女川交番を見学し、減災を基本とした復興まちづくりを学び、復興に込められた想いに触れるとともに、小学生や保護者を対象とした女川町健康プロジェクト、離乳食教室の開催等の母子保健事業を中心とした行政保健師の仕事を学びました。
震災を経た地域振興と離島における生活を捉える/塩竈市浦戸諸島
塩竈市の浦戸諸島は4島5地区で構成され、約270人(2024年5月末時点)が暮らしています。学生たちは、東日本大震災発災後の記録を展示する「津波防災センター」と塩竈の有人離島・浦戸諸島への玄関口であり地域振興を担う拠点施設「マリンゲート塩釜」の見学を踏まえて、浦戸諸島を訪問、桂島・石浜、野々島、寒風沢島での散策を行い、地域住民の方々にお話を伺いつつ、浦戸諸島の長い歴史や豊かな自然、島ならではの生活の様子を体感しました。島で暮らす方々の人柄や価値観に触れ、学生自身の日常生活との違いや魅力に気づき、改めて地域課題の捉え方を考える機会となりました。
震災伝承と復興まちづくりを学ぶ/石巻市
石巻市は、震災前よりも魅力ある地域にするため、中心市街地の開発など復興に長く努力してきた地域です。学生たちは、東日本大震災による津波火災で焼け残った小学校を改修し、震災伝承施設となった「震災遺構 門脇小学校」を訪問。展示を作成された学芸員からは、多くの悲劇があった震災を伝承するにあたっての想いや葛藤についてお話を伺いました。また、中心市街地への訪問では、復興まちづくりを進めて来た方々から、震災以前からあった地域課題と震災による問題にぶつかりながらもアクションし続けてきたスピリットを学びました。
3日目/「フィールドワークのまとめ」作成/共有に向けたブラッシュアップ(6月12・19日)
3日目の授業では、前回の授業で実施したフィールドワークのふりかえりを行い、最終講義で行われる「フィールドワークのまとめ」報告会に向けて、背景、目的、調査結果、分析、及び分析結果をまとめた成果物を作成する方法を学びました。学生は最終講義までに、自身の成果物をブラッシュアップし最終講義に挑むことになります。
4日目/提案の手法とスキルについて/「フィールドワークのまとめ」共有(7月3・17日)
最終日に行われた成果報告会では、各自治体の関係者が参加しました。まずは、学生がそれぞれに作成したフィールドワークの成果をまとめたスライドをペアで発表し、フィールドワーク時の視点の多様さを共有するとともに、各学群の代表者によって成果報告のプレゼンテーションが行われました。自治体関係者からの講評では「第三者が地域にどのような眼差しを向けているのか知ることができた」等のコメントがありました。学生たちも、ほかの学生による課題把握の仕方やプレゼンテーション手法等について気づきを得ました。
今年度の「地域フィールドワーク」の開講にあたり、女川町、塩竈市、大崎市、加美町、石巻市の各自治体職員の皆様、並びに関係者の皆様をはじめ、多くの方々に御協力、御尽力を頂きました。この場をお借りして、心より厚く御礼申し上げます。
開催概要
令和6年4月24日、5月15・29日、6月5・12・19日、7月3・17日(すべて水曜日)
日付 | 講義題目 | 講義概要・主なフィールドワーク場所 |
---|---|---|
4月24日 5月15日 | ガイダンス、フィールドワークのテーマ設定 | ガイダンス、フィールドワークテーマの設定 |
訪問自治体について | 自治体紹介、地域特性の把握 | |
5月29日 6月5日 | 現地FW | 女川町:シーパルピア女川ほか町内各地 |
塩竈市:マリンゲート、浦戸諸島内各地 | ||
大崎市:有備館、岩出山商店街ほか地域内各地 | ||
加美町:旧旭小学校、中新田地区商店街周辺 | ||
石巻市:震災遺構 門脇小学校ほか中心市街地 | ||
6月12日 19日 | フィールドワークのふりかえり | フィールドワークのふりかえり、フィールドワークのまとめの作成 |
7月3日 17日 | フィールドワークのまとめ発表 | 自治体職員へフィールドワークのまとめを発表 |
お問い合わせ
公立大学法人 宮城大学 地域連携実践教育推進室(大和キャンパス)
TEL:022-377-8659 / FAX:022-377-8669
<参考>
- 地域が抱える課題の発見とその解決に取り組む「地域フィールドワーク」<2023年度>
- 地域が抱える課題の発見とその解決に取り組む「地域フィールドワーク」<2022年度>
- 地域が抱える課題の発見とその解決に取り組む「地域フィールドワーク」<2021年度>
- 地域フィールドワーク・エクストラを実施「地域フィールドワーク」<2020年度>
- 地域が抱える課題の発見とその解決に取り組む「地域フィールドワーク」<2019年度>
- フレッシュマンコア[全学群共通・必修]
- コミュニティ・プランナープログラムとは