新着情報

25.07.31

地域が抱える課題の発見とその解決に取り組む「地域フィールドワーク」を宮城県内4市町で実施しました

「地域フィールドワーク」は、全学を対象にしたフレッシュマンコアの必修科目で、地域の自然・歴史・文化等を学びながら、地域社会の将来に対する使命感を涵養し、これからの主体的な学びに向けた動機づけとなることを目標としています。今年度は4日間の行程にわたって444名の学生が受講し、宮城県内の石巻市、白石市、蔵王町、加美町の4つの市町をフィールドとして、自治体の全面的な協力のもと現地フィールドワークを行いました。

地域協働学習と自己の学び・地域特性の把握と事前学習への取り組み

1日目/ガイダンス(4月23日・5月14日)

初回の講義では、地域フィールドワークの位置づけや意義を確認し、地域へ訪問する際の心構えやマナー等、フィールドワークのリテラシーを習得。また、それぞれの地域の特徴や見所について自治体職員から説明を受け、学生たちは各自の興味関心に基づいたフィールドワークにおけるテーマの設定を行いました。

2日目/フィールドワーク(5月28日・6月4日)

2日目の授業では、クラス単位に分かれ、石巻市、白石市、蔵王町、加美町でフィールドワークを実施。学生は地域を自分の足で実際に歩くことで、インターネットや文献の事前調査では知ることができなかった、地域の特徴や課題等を確認することができます。フィールドワーク後はグループごとに調査をふりかえり、得られた成果や課題等を確認・共有しました。


フィールドワークについて

津波伝承と中心市街地での取組から今後の復興まちづくりを考える/石巻市

石巻市では、東日本大震災の被災を乗り越え、中心市街地の活性化をはじめとした復興まちづくりに取り組んでいます。津波火災による被災状況を残す全国で唯一の震災遺構「石巻市震災遺構門脇小学校」では、多くの悲劇があった震災の状況や、伝承するにあたっての想いに触れました。中心市街地の散策では、沿岸部ならではの海産物、マンガ等の地域資源を活用した復興まちづくりに取り組む方々からお話を伺いました。まちづくりにおける課題や展望、自分たちの役割を学び、これからの復興まちづくりを考えるうえでの視点を学ぶ機会となりました。

自治体の政策と地域とのつながりを捉え生活風景から学ぶ/白石市

白石市は、人口減少という逆風の中、市民と行政が一体となって新たな価値の創造に挑戦しています。白石市の新しい取り組みとして、新設される予定のスマートインターチェンジや防災機能を備えた道の駅の整備予定地を見学し、2024年7月に史実に基づき三階櫓(天守閣)を復元した白石城を見学しました。白石市内の市街地には、1730年に建てられた宮城県指定文化財にも指定されている貴重な武家屋敷(旧小関家)を訪れ、当時の武士の文化にも触れました。移住交流サポートセンターや商店街の方々へのインタビューを通じて、地域の強みや課題について視点を深め、行政が取り組むまちづくりの政策と住民の生活によって培われてきたまちの風景を体感し、地域が形づくられる過程や特徴を捉えて主体的な学びにつながる機会となりました。

豊かな自然資源を活かした観光地の特性から地域を知る/蔵王町

蔵王町の遠刈田温泉は、古くから信仰登山の基地や湯治場として親しまれ、宮城蔵王の観光拠点として県内外から観光客が訪れる地域です。2024年に開設した蔵王ジオパークセンターを起点に、岩崎山金窟址、みやぎ蔵王こけし館、神の湯において地域の方々からレクチャーをいただくとともに、遠刈田温泉街での散策を通じて商店の方々へのインタビューを行いました。鉱山や温泉といった自然資源を活かして人々によって育まれてきた土地の特徴や歴史を体感しつつ、住民や商店の方々の日常における視点にも触れ、観光地としての魅力や課題を捉える機会となりました。

住民同士の関わりから育まれる地域の暮らしを捉える/加美町

加美町は、2003年4月に中新田町・小野田町・宮崎町が合併し誕生した町です。学生たちは、旭地区(旧宮崎町)で取り組まれている地域運営組織の活動や保健師の地域における役割に関するレクチャーをはじめ、閉校舎の利活用が検討される旧旭小学校やふるさと陶芸館・ゆ~らんどの見学しました。中新田地区(旧中新田町)に移動し、開館以来"田んぼの中のコンサートホール"として注目を集めるバッハホールで、パイプオルガン奏者の方から演奏とレクチャーをいただき、中新田地区商店街周辺を散策しました。地区ごとに継承されてきた歴史・文化等の特性を感じるとともに、地域の方々が大切に育んできた地域資源や生活の様子に触れ、地域コミュニティでの暮らしとその生活を支える人々の役割に目を向け、気づきを得る時間となりました。

― 地域と大学の共創に向けた場の創出へ

地域フィールドワークの協力自治体である加美町では、学生が地域で活動できるよう、大学との連携を強化しています。今後、今回のフィールドワークで訪問した加美町宮崎地区旧旭小学校を「宮城大学地域活動ベース(仮)」として、ゼミやサークルといった学生活動で活用できるよう検討していきます。


3日目/「フィールドワークのまとめ」作成/共有に向けたブラッシュアップ(6月11・18日)

3日目の授業では、前回の授業で実施したフィールドワークのふりかえりを行い、最終講義で行われる「フィールドワークのまとめ」報告会に向けて、背景、目的、調査結果、分析、及び分析結果をまとめた成果物を作成する方法を学びました。学生は最終講義までに、自身の成果物をブラッシュアップし最終講義に挑むことになります。

4日目/提案の手法とスキルについて/「フィールドワークのまとめ」共有(7月2・16日)

最終日に行われた成果報告会では、各自治体の関係者が参加しました。まずは、学生がそれぞれに作成したフィールドワークの成果をまとめたスライドをペアで発表し、フィールドワーク時の視点の多様さを共有するとともに、各学群の代表者によって成果報告のプレゼンテーションが行われました。自治体関係者からの講評では「学生の発表を聞き、改めて、自分の地域を振り返ることができた」等のコメントがありました。学生たちも、ほかの学生による課題把握の仕方やプレゼンテーション手法等について気づきを得ました。

今年度の「地域フィールドワーク」の開講にあたり、石巻市、白石市、蔵王町、加美町の各自治体職員の皆様、並びに関係者の皆様をはじめ、多くの方々に御協力、御尽力を頂きました。この場をお借りして、心より厚く御礼申し上げます。

開催概要

2025年4月23日、5月14・28日、6月4・11・18日、7月2・16日(すべて水曜日)

日付 講義題目 講義概要・主なフィールドワーク場所

4月23日

5月14日
ガイダンス、フィールドワークのテーマ設定 ガイダンス、フィールドワークテーマの設定

訪問自治体について

自治体紹介、地域特性の把握

5月28日

6月4日
現地FW 石巻市:震災遺構 門脇小学校ほか中心市街地
白石市:白石城ほか中心市街地
蔵王町:遠刈田温泉街ほか地域内各地
加美町:旧旭小学校ほか宮崎地区・中新田地区内各地

6月11日

18日
フィールドワークのふりかえり フィールドワークのふりかえり、フィールドワークのまとめの作成

7月2日

16日
フィールドワークのまとめ発表 自治体職員へフィールドワークのまとめを発表

お問い合わせ

公立大学法人 宮城大学 地域連携実践教育推進室(大和キャンパス)
TEL:022-377-8659 / FAX:022-377-8669

TOP