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新着情報

22.01.19

地域との連携で歴史遺産の食材開発!食産業学群須田教授と研究室3年生が樹齢1300年「仙台柳生かやの木」の実の機能性研究、柳生・西中田商工振興会と連携し特産品開発

食産業学群の須田教授の研究室に所属する3年生らは、柳生西中田商工振興会と連携し、仙台市太白区柳生にある仙台名木100選(1978年指定)に指定されている推定樹齢1300年の自然木“仙台柳生かやの木”の実の機能性研究に取り組んできました。

推定樹齢1300年「仙台柳生かやの木」とは

“かやの木”は、宮城県を北限とする太平洋側原産イチイ科の常緑針葉樹であり、鹿児島県屋久島から南には見られないとされており、中国などでも栽培されています。枝葉、果実、材としての活用があり、かつては農家の庭に好んで植栽され、また大気汚染に強いことや移植に強いことなどからその価値が再考され、公共施設等に植えられるようになっています。国内の各地に天然記念物に指定された巨木が存在し、愛知県にある名古屋城内には国指定天然記念物の木があります。

その中でも、「仙台柳生かやの木」は、仙台市内の中で最古木と推定されており、根本から見つかったとされる仏像・薬師瑠璃光如来が社に祀られており、源頼朝の平泉攻略時にこの木に馬を繋留したとの言い伝えがあり、「おやっくさん」として地域の歴史的シンボルとして親しまれているそうです。

家具や彫刻に重用される“かやの木”の実は食べられることを知っていますか

“かやの木”は成長が遅く、そして樹齢が長いという特徴があります。木の材質は、緻密で淡いクリーム色の柾目が美しいことや、独特の甘い香りがあることから建築、櫛などの器具、家具や彫刻に重用されることが多いです。また、シロアリや水に強く、建築の土台や浴室用材にも用いられ、平安時代から鎌倉時代の仏像の多くはかやの木を材料としていたことが知られています。

さて、かやの木の実が食べることができることをご存知でしょうか。かやの木の種子は、灰汁を抜いて天日干しし、炒めるとアーモンドのようなナッツになり、戦後は食糧難を支える1つになっていたようです。古代遺跡からかやの実が出土しており、かつては朝廷に献上された記録があるそうです。また、種子から採取する油を燈明、整髪料、塗料、てんぷら油、そして寄生虫の駆除などに用いられてきた経緯があり、各地の神社仏閣等に巨木が残されています。

“かやの木”の実の機能性研究を実施、柑橘系の香りが強く有用なアミノ酸も豊富
化粧品やフレーバー添加物などへの活用に期待

須田研究室では「仙台柳生かやの木」の実の機能性研究として、成分分析、抗菌活性、成長阻害実験、香気性分析などを行ってきました。その結果、種子には、他の食用ナッツ類と同様にオレイン酸やリノール酸、リノレン酸などが含まれ、特にリノール酸がアーモンドに比べて多く、また他のナッツ類に比べてリノレン酸が豊富に含まれていることが分かりました。また、果肉の部分は柑橘系の香りが強く、有用なアミノ酸も特に豊富で、化粧品やフレーバー添加物に加工できることが期待されており、さらに抗菌活性が認められる可能性もあります。須田研究室では、現在これらの知見を活かした機能性食品やヘルスケア品などの開発に協力し、柳生・西中田地域の特産品開発に貢献していく予定です。

須田教授は、「我々が持つ分析技術や装置を地域の活性化へ活かしていけるように、今後も尽力して参りたい。いつでも研究室を遠慮なく訪ねて頂き、興味のある方は是非一緒に研究しましょう」とコメントを寄せました。 

研究者プロフィール


食産業学群に《生物生産学類》令和 4 年 4 月誕生​​​​​​​ 

今、食を支える農業は変革の時。
農畜水産物生産のイノベーションで食の未来を創造する人材が必要です。
生物生産の確かな知識や技術、そして豊かな知性を身に付けるために、
新生 “生物生産学類” で、バイオサイエンス、植物・動物・水圏生物の生産科学、
環境情報や生産ビジネスなどの多様な分野を幅広く、深く学んでみませんか。

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