新着情報
23.11.30
10/6-7仙台育英学園沖縄高等学校の生徒を対象に「宮城大学×仙台育英学園 未来志向型アントレプレナーシップ」ワークショップを開催しました
宮城大学では「Downstream から学ぶDX リスキリングプログラム」の考え方を生かした「高校生アントレプレナーシップ」ワークショップを仙台育英学園と共同で実施しています。10月6日・7日、沖縄県沖縄市にある仙台育英学園沖縄高等学校の生徒30名を対象に生成AI・VR・プログラミングなどを体験するワークショップを開催しましたのでお知らせいたします。
社会の変化を想像し、自ら未来を創造できる人材育成を目指す
「バックキャスティング」を軸に、6部構成のワークショップを実施
「バックキャスティング」とは、最初に目標とする未来像を描き、次にその未来像を実現するための道筋を未来から現在へさかのぼって考える思考方法のことです。今回のワークショップは、この「バックキャスティング」を軸とした6部構成のワークショップとしました。
- 第1部:バックキャスティングを学ぶワークショップ
- 第2部:生成系AI、ChatGPT・DALL-Eの体験
- 第3部:仮想空間でのVR体験
- 第4部:MESHを使用したプログラム体験
- 第5部:ドローン体験
- 第6部:バックキャスティングワークショップ(2回目)、ディスカッション
第1部 架空の道具を想定し、バックキャスティングによる思考を体験
第1部ではまず、バランス理論(対人関係において三者以上の存在があるときに、その三者の間の認知関係のバランスを保とうとする心理状態)における “自分”・“相手”・“対象物”の三者による関係性を学び、不確実性とコントロールの欠如・未知のストレスなど、“将来を考えることが不安になりやすい理由”を理解します。それらを踏まえて、思考実験として対象物を「『ドラえもん』の中に登場する架空の道具」に設定、「特定の道具を用いて誰かを幸せにする方法」を考えてみるワークショップを行いました。未来の社会を良くする方法を漠然と考えるより、「ドラえもん」という馴染みのあるアニメに登場する道具の中からグループごとに使う道具を指定して、特定の誰かを幸せにするというより具体的なテーマに限定することで、受講生たちは楽しみながらバックキャスティングの思考を体験することができました。
第2部 ChatGPT / DALL-Eによる生成AIの体験をし、その特性を理解する
第2部では、話題の生成AIに焦点を当てました。ほとんどの受講生が初めてAIに接する中で、まずはChatGPTにログインし、ChatGPTに対して「ChatGPTって何?」や「ChatGPTは素晴らしいの?」といった質問を投げかけ、質問の内容によって回答が変化する特性や仕組みを学びました。その後、実際にChatGPTに統計データのクレンジング作業(データセット内のエラーや不正確な情報を検出し修正するプロセス)を行わせる実例を紹介しました。さらに、画像生成AIのDALL-Eを用いて「有名なネズミ」や「ダリが描いた絵」といった条件から画像を生成する試みを行いました。これらの実習を通じて、AIが既に実社会の業務に導入されており、アートやデザインの領域においてもAIが進出している現実を実感しました。
第3部 VRコンテンツ内の仮想空間で未知の世界を疑似体験
第3部では、VRゴーグルを用いてバーチャルリアリティの仕組みを学び、受講生全員でVRゴーグルを装着し360°動画を体験しました。具体的には、盛岡の南部鉄器の製造工程や工房の様子、会津の会津木綿の製造工程や製品制作、南三陸の海苔漁の様子を、2次元の写真や動画とは全く異なる、まるでその場にいるような臨場感で味わい、VR技術をどのように活用できるかアイデアを出しました。次にVRゴーグル「Quest2」のチュートリアル、“FirstSteps”を使用して、バーチャル空間でアバターを操作する体験を行いました。実際にVR空間を体験した後で、先ほどのアイデアをさらに発展させ、そのアイデアにより社会にどのような効果が期待できるかグループで検討しました。
第4部 「MESH」で基本概念を学び、ノンコードでのプログラミングを体験
第4部では、SONYのIoTツール「MESH」を使用して、グループごとにプログラミング言語を使わずに簡単なプログラム作成を体験しました。MESHでは異なる機能を持つブロックを、タブレット上で操作するアプリをペアリングさせ、ブロック同士を組み合わせて希望する動きを作成します。まずは最初にLEDライトブロックと明るさセンサーブロックを組み合わせ、LEDの設定とセンサがLEDを発光させる条件をアプリで設定し、ブロック同士を接続しました。ブロックがプログラム通りに動くことを確認したら、センサーブロックや条件を複数使用したり、条件をカスタマイズするなどしてMESHでのプログラミングに慣れていきます。さらに各グループが自由にセンサを組み合わせたりスマートフォンをコントロールしたり通知を飛ばしたりと、オリジナルプログラムを実行しました。
第5部 プログラムで制御する、ドローンの自動飛行体験
第5部では、タブレット上のアプリを使用してグループごとに用意されたドローンの飛行ルートをプログラムする自動飛行を体験しました。現在ドローンの飛行には様々な制限、資格、法律があるため、まずドローンに関係する基本事項を講義で学び、その後タブレットで、アプリでのプログラミングを学びました。“離陸”、“上昇”、“前進”、“旋回”、“下降”、“着陸”といった基本動作の設定や、パラメータや試行を通じて基本操作をマスターした後、課題で設定した飛行ルートを実際にプログラム通りに飛ぶかシミュレーションで確認しました。プログラムが正しく動作することを確認できたら、今度は実際のドローンでの飛行に移ります。ドローンとプログラムアプリをWIFIでリンクできたグループからプログラムを実行し、次々ドローンを飛行させました。ドローンがプロペラ音とともに飛び上がると受講生達から歓声が上がり、課題がうまく達成できたグループは自らルートを設定して独自ルートでの飛行を試みました。
第6部 バックキャスティングでの思考ワークショップ(再)
第6部では、ワークショップの締めくくりとして、これまでのテクノロジー体験をふまえて再び『ドラえもん』の架空の道具を題材にしたバックキャスティングワークショップを行いました。初日の課題との違いは、道具の指定と使用個数の制限がないことです。2日間のワークショップで様々なテクノロジーやそれを活用するアイデアを出す訓練について学び、体験したことを通して、受講生達が同じ課題に対してどのような回答を導き出すのかがテーマです。初日では、ワークショップやグループでアイデアを出し合ったりする経験がほとんどなく、漠然とした考えしか出せなかった受講生達ですが、第6部では論理的な思考で具体的な意見を出し合い、アイデアを発表しました。
ワークショップを統括した藤澤教授は「大人でも疲弊してしまいそうな2日間に渡る長丁場のワークショップを、少し前まで中学生だった受講生達が全員頑張って受講しきってくれました。受講後には受講生より、各ワークショップいずれに対しても『十分に意義があった』『社会に対して何か新しいことを始めてみたいと思った』とのアンケート結果をいただけたことがよかったと思います」とコメントしました。
開催概要
イベント名 | 「高校生アントレプレナーシップ」ワークショップ |
開催日時 | 2023年10月6日、7日 |
開催場所 | 仙台育英学園沖縄高等学校 (沖縄市胡屋2丁目6番17号) |
内容 | バックキャスティングを学ぶワークショップ、生成系AI、ChatGPT・DALL-Eの体験、仮想空間でのVR体験、MESHを使用したプログラム体験、ドローン体験 |
主催 | 宮城大学事業構想学群、仙台育英学園沖縄高等学校 |
※このプログラムは、みちのくアカデミック発スタートアップ共創プラットフォーム(Michinoku Academia Startup Platform: MASP)により展開されているEDGE-PRIME Initiative(高校生向けアントレプレナー教育プログラム開発事業)により行われたものです。
担当教員
中田 千彦:事業構想学群教授、藤澤 由和:事業構想学群教授、太田 賢:事業構想学群教授、渋田 一夫:事業構想学群教授、青木 孝弘:事業構想学群准教授、安藤 裕:事業構想学群准教授、石内 鉄平:事業構想学群准教授、高山 純人:事業構想学群講師、薄井 洋子:事業構想学群助教
大林 政夫:外部講師、杉本 マコト:事業構想学群特任教授、大槻 優花:事業構想学群特任助教
MASPについて
みちのくアカデミック発スタートアップ共創プラットフォームはJST研究成果展開事業 大学発新産業創出プログラム(START)大学・エコシステム推進型 スタートアップ・エコシステム形成支援の採択を受け、東北大学を主幹機関、弘前大学、岩手大学、秋田大学、山形大学、福島大学、新潟大学、長岡技術科学大学、宮城大学、会津大学、東北大学ナレッジキャストを共同機関として実施するものです。プラットフォーム参加大学が一丸となり、本プログラムのような「アントレプレナーシップ人材育成プログラム」などを実施し、課題先進地東北から国内外の課題解決に資するスタートアップの創出を加速させ、スタートアップ・エコシステムの形成を強力に推進します。
事業構想学群について
宮城大学は、グローバルな視点で地域社会の発展に貢献できる人材の育成を理念の一つとして掲げ、実学を尊重し、実践的な教育に取り組んでいます。事業構想学群では、現代社会の諸課題を多角的・グローバルな視点で論理的にとらえ、その課題解決に向けた事業を実行可能かつ持続可能なものとして構築する能力を身につけるとともに、豊かな人間性を基盤として地域資源の活用や新たな価値創造を志向し、産業、行政及び社会の各分野で先導的役割を担うことができる挑戦意欲旺盛な人材の育成を目指しています。
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