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25.06.04
工藤愛加さんによる「居住誘導区域内の空き地が菜園として活用される可能性の検討」が日本都市計画学会東北支部優秀発表賞を受賞
事業構想学群小地沢研究室では、公民連携による都市デザインや公共施設づくり、住民参加によるまちづくり、社会教育等の分野における実践的な支援を通した研究に取り組んでいます。小地沢研究室に所属する工藤愛加さん(2025年3月卒業)が口頭発表「居住誘導区域内の空き地が菜園として活用される可能性の検討」で日本都市計画学会東北支部研究発表会優秀発表賞を受賞しましたのでご案内いたします。
郊外住宅地や、市町村が定める居住誘導区域内で増加する空き地
対策として、「菜園」への転用が有力視されています
日本国内では、人口減少の進行にともなって、郊外住宅地における空き地が増加しています。その約7割は、相続や贈与によって取得したものであり、子や孫の世代が、親から引き継いだ土地を十分に活用しきれていない状況があることが読み取れます。また、市町村が住宅地を集約するために設定した居住誘導区域内でも、同様に空き地が増加傾向にあります。
国土交通省において次代の土地政策のあり方を検討するための有識者会議:土地政策研究会では、増加する空き地の対策として、利活用や管理の担い手を確保することや、菜園などへの転用を提言したことがよく知られています(2024年7月)。空き地対策として菜園への転用が有力視されている中で、菜園として活用する際の「土地所有者や周辺住民の心情」についてはあまり調査がなく、これまで明らかにされていませんでした。
第三者の利用には抵抗が見られる空き地
「菜園」としての活用には寛容で、利用者の拡大が期待できます
工藤愛加さんは、仙台市泉区将監地区において空き地の所有者である場合の心情や、隣地に空き地がある場合の心情について、アンケート調査を行いました。調査の結果、空き地の所有者である場合でも空き地の隣人である場合でも、地区外の団体が空き地を利用することに抵抗感があることがわかりました。一方で、隣地の空き地が菜園として利用されることに限定すると、地区外の団体が利用することに寛容であることが明らかになりました。空き地を菜園として活用することによって、利用者を拡大することが可能であるといえます。
これら研究成果が認められ、工藤さんは日本都市計画学会東北支部研究発表会優秀発表賞を受賞しました。なお、2025年2月にせんだいメディアテークを会場に行われた本学の「卒業研究・制作展」においても、この研究成果に基づいた郊外住宅地における菜園空間の提案を展示しました。
今回受賞した工藤愛加さんは「今回の研究では、増加している空き地を菜園として活用する上で土地所有者・利用者・周辺住民の心情について調査しました。私自身、菜園を通して体を動かす場所が身近にあればという想いから、本研究に取り組み始めました。ご指導いただいた小地沢先生や、研究にご協力頂いたみなさまに心より御礼申し上げます。この研究活動を通して培った知識や人との関わりを忘れず、春からは社会人として精一杯努めたいと思います」とコメントしています。
日本都市計画学会東北支部研究発表会優秀発表賞
日本都市計画学会東北支部は、支部管内の会員とその関係者による研究の推進に資するため、支部研究発表会における将来を担う若手による優秀な発表に対して「優秀発表賞」を授与しています。優秀発表賞は、日本都市計画学会東北支部研究発表会での口頭発表のうち40歳以下の優秀な発表に送られるもので、今年度より創設。審査の結果、9名が受賞しています。
- 業績タイトル:「居住誘導区域内の空き地が菜園として活用される可能性の検討」
- 受賞者:工藤愛加(事業構想学群価値創造デザイン学類2025年3月卒業)
指導教員プロフィール
小地沢 将之(事業構想学群教授)
公民連携による都市デザインや公共施設づくり、住民参加によるまちづくり、ソーシャル・キャピタル、社会教育の分野で、持続可能な地域生活の拠点を形成するための実践的な支援を通じて、日常生活圏域レベルでの拠点形成のための理論的枠組みの構築を目指しています。
(関連)※職位は記事公開当時の職位
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