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22.05.13

食産業学群の須田教授らが、Lactobacillus属TUA4408L機能性乳酸菌により発酵された豆乳の摂取で、腸管の免疫機能が強化されることを明らかに!

食産業学群の須田教授(動物遺伝育種学)は、これまで哺乳動物の腸管の免疫機能を強化するような機能性乳酸菌に関して、東北大学大学院農学研究科の北澤教授とともに様々に研究を続けてきました。マルサンアイ株式会社とともに取り組んできた研究成果を、国際的な学術雑誌Microorganisms(インパクトファクター=4.128)及びBenefical Microbes(IF = 4.2)に発表しました。哺乳動物の免疫機能を明らかに賦活化し、イムノバイオティクスとして認められるものは少なく、今後のヒト用の食品開発や家畜飼料用の抗菌剤代替物として強く期待される成果と言えます。関連成果は特許出願中となっています(5月13日追記)。

生産現場で求められている低リスクのイムノバイオティクス乳酸菌開発

イムノバイオティクス乳酸菌開発は、ブタの生産現場では、幼若期における細菌・原虫等による下痢症や、腸管の慢性炎症が問題となっており、これらの予防や治療の手段として、一般的に抗菌剤等の医薬品が使用されています。しかし、それによって薬剤耐性菌が出現するリスクや、消費者の抗菌剤残留汚染への不安が増大しているのが現状です。そのうえ、これらの症状がウイルスによって引き起こされる場合、抗菌剤は効果がないとされています。こうしたことから、感染症予防効果のある低リスクの抗菌剤代替物が求められており、プロバイオティクス(乳酸菌やビフィズス菌をはじめとする腸内細菌のバランスを改善し宿主に有益に働く微生物の活用)が注目されています。今回の研究では、そのプロバイオティクスの中でも特に粘膜免疫調節作用を発揮する菌種であるイムノバイオティクスに着目しています。
<関連>「ブタ由来乳酸桿菌ライブラリーの構築とイムノバイオティック評価」
<関連>イムノバイオティクス乳酸菌は、母ブタから仔ブタへ伝搬し、仔ブタの免疫機能を強化する

Lactobacillus属TUA4408L機能性乳酸菌により発酵された豆乳やオカラの摂取することによって、腸管の免疫機能を強化することを明らかに

今回の研究成果は、Lactobacillus delbrueckii subsp. delbrueckii TUA4408Lによって発酵させた豆乳とオカラを、ヒトのモデル動物であるブタへ給与実験を行ったものです。また、それだけでなく、ブタ腸管上皮細胞PIEを用いて立体培養下での実験を繰り返し、その乳酸菌が腸管局所だけでなく、末梢血に見られる全身性の免疫機能も強化することを明らかにしました。

こういった哺乳動物の免疫機能を明らかに活性化し、イムノバイオティクスとして認められるものは少なく、今後のヒト用の食品開発や、家畜飼料用の抗菌剤代替物として強く期待される成果と言えます。現在、この乳酸菌を飼料添加して実証するための試験が大規模に行われており、関連成果は特許出願中となっています。

今回の成果は、食産業学群における食資源の新規開発とビジネス化という点で象徴的なものであり、現代の食における乳酸菌ブームかつ安全安心な食材生産に対して、確かな科学的エビデンスを示しながら大きく貢献できるものとして評価されています。須田教授は、今後も東北大学大学院農学研究科の北澤春樹教授と共同で「食と免疫」に関する研究を進める予定です。「安全・安心な家畜と美味しい畜産物の生産を目指し、またその知見が人の生活と健康維持に大いに役立つように研究と教育に奮闘していきたいと思っております。興味のある人はぜひ一緒に研究しましょう」とコメントを寄せました。

なお、この乳酸菌は、共同研究先のマルサンアイ株式会社がこのラクトバシラス属乳酸菌TUA4408L株を使って豆乳を発酵し、ヨーグルト様に加工して「豆乳グルト」としてマルサンアイ株式会社が販売しています。是非、一度ご賞味ください。

研究者プロフィール

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