看護学研究科

研究科長メッセージ

新たな看護を創造し,持続可能な社会の実現に貢献する看護職の育成を目指して

2020年は,世界を震撼させる新興感染症の拡大から始まりました。その後も世界情勢では,戦争という言葉が見聞きされる状況や,国内外で災害の発生などもあり,各所で様々な危機に見舞われています。世界的に「安全に暮らす」という,人にとって最も基本的で,不可欠なものが脅かされている状況にあります。

人の人生において免れない四苦として「生老病死」がありますが,どの時代でも「生まれること」,「老いること」,「病むこと」,「死ぬこと」は,人が共通して体験する「苦」として説明されてきました。現代においては,この四苦は,本人のみならず,社会との関連の中で,深刻な問題となっています。日本では,病気や障害により,生きていくために様々な医療機器が必要となるお子さんや療養者の地域生活の難しさや,後期高齢者と言われる75歳以上人口の増加に伴う認知症高齢者の増加,社会的な介護力の不足,人生の最終段階の選択など,社会全体で考えていかなければならない多くの問題が存在しています。今般,パンデミック(世界的大流行)となった新興感染症や,災害などの発生は,さらに現状の問題の困難性を高めています。一方で,この困難な状況にある中でも,私たちは,AIやICTをはじめ,現代における様々な科学技術の進歩や,新たな発見・発明が,不可能であったことを可能にすることも体験してきました。

これからの看護職は,これまで以上に,人々が抱える困難性の高い様々な問題に真摯に向き合い,新たな発想で困難に対処できる力が求められているのではないかと考えます。

本学,看護学研究科博士前期課程は,「基盤看護学」「成熟期看護学」「次世代育成看護学」「広域看護学」の4分野があります。4つの分野は,さらに領域に分かれており,大学院生は,専門領域における新たな問題・課題の探究に取り組んでいます。これまで,災害看護学領域は,1領域として独立していましたが,「災害はすべての看護学領域で取り扱う課題」として位置付け,領域を再編成しました。また,大学院博士後期課程として「生涯健康支援看護学分野」を位置づけており,人の生涯を支える看護学の構築を目指し,大学の学士教育から大学院博士後期課程まで,連動性のある教育課程を設置しています。

大学院での科学的根拠に基づく論理的思考と研究的視点の修得により,新たな看護の創造と,持続可能な社会の実現に貢献しましょう。

看護学研究科長 高橋 和子


看護学研究科紹介動画

看護学研究科で学ぶ意義と本学の看護学研究科について紹介します。

博士前期課程

基盤看護学分野

すべての看護学分野の基盤として位置づく看護学分野です。
基礎看護学領域/看護管理学領域

成熟期看護学分野

心身の健康問題をもつ成熟期の人々とその家族の健康を支援する看護学分野です。
成人健康看護学領域/がん看護学領域/精神健康看護学領域/老年健康看護学領域

次世代育成看護学分野

次世代を担う人々やその育成に関わる人々の健康を支援する看護学分野です。
母性健康看護学領域/小児健康看護学領域

広域看護学分野

地域生活を基盤に,個人・家族・集団および療養者の健康を支援する看護学分野です。
地域健康看護学領域/在宅健康看護学領域

実学を基盤とした教育・実践・研究活動をとおして,保健医療福祉に貢献する高度専門職業人を養成することを目標として,「研究能力養成コース」「専門看護師養成コース」の2コースを設置しました。
(1)研究能力養成コース(全領域に設置)

保健医療福祉の現場における看護の質の向上のために,対象となる人中心の看護の視点からの研究活動を通じて,看護学が扱う現象を科学的に追究できる研究能力を養成します。

(2)専門看護師養成コース(老年健康看護学領域/がん看護学領域)

保健医療福祉の現場における課題を科学的思考及び研究的視点で多角的に分析でき,課題に実効的に取り組むために必要な高度な実践力を備えた専門看護師を養成します。

教育方法の特徴

(1)看護現場の実践的課題に応じる理論・方策・技術等の開発を行います。
(2)現任看護職と学部進学者との相互作用効果を生み出す教育を行います。
(3)専門分野を基軸とした責任ある複数指導体制により研究指導を行います。
(4)関係資格(専門看護師)の取得を支援します。


博士後期課程

博士後期課程は,生涯健康支援看護学分野1つで構成しています。人の生涯にわたる健康支援という総体的視点に立ち,各看護専門領域を統合・包括した看護支援方法について教育研究を行う看護学分野です。

教育方法の特徴

(1)看護の対象となる人々のライフステージや健康レベル,健康障害の種類・程度,生活の状況、生活拠点等の特性を包括的・横断的な視点でとらえ,統合的・縦断的な視点から生涯にわたる人々の健康と生活の質の向上を目指した看護支援方法の開発・研究を行います。
(2)専門分野を基軸とした責任ある個別指導体制,小集団指導体制,大集団指導体制により研究指導を行います。


社会人への配慮・教育状況等

入学者のおよそ9割が社会人学生であり,徐々にその割合も増加していることから,平成21年度より,学則において長期履修制度や教育方法の特例を新たに規定するなど,修学環境整備に力を入れています。

長期履修制度

職業を有し,かつ就業している方で,標準修業年限で修了することが困難である場合や,育児,介護等により標準修業年限で修了することが困難である場合等には,申請後,審査を経て,長期履修の制度を活用することができます。

教育方法の特例

学生の職務状況に合わせて夜間や土曜日・日曜日、長期休業期間の開講や,必要に応じてコンピュータネットワークを利用した指導を行います。


教育目標・教育ポリシー


教員紹介


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