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22.10.11
須田研究室卒業生の秋山紀賀さんが「竹活性炭の飼料配合による糞便臭抑制効果と産肉性向上に関する研究」で東北畜産学会優秀発表賞を受賞
食産業学群の須田義人教授は,食の安全性と美味しさを高めるという観点から動物が持つ特質を遺伝的に改良する研究を行っています。この度,須田研究室卒業生の秋山紀賀さん(2020年度卒,現株式会社サイボクファーム所属)が,附属坪沼農場で実施していた卒業研究「竹活性炭の飼料配合による家畜排せつ物臭抑制効果と産肉性向上に関する研究」を2022年度東北畜産学会において共同で発表し,優秀発表賞を受賞しましたのでお知らせします。
畜産業の現場を長年悩ませている「臭気問題」が深刻化しています
最近の焼肉ブームや総菜人気も重なって,食肉の消費量が高まっています。その一方で,畜産の生産現場では「臭気問題」が深刻化していることをご存じでしょうか。畜産は,経営の大規模化とともに,農村地域の都市化による住宅の近接化が進んでいて,畜産環境をめぐる情勢はますます厳しくなっています。特に,家畜排せつ物の管理・処理過程で発生する臭気問題は,緊急に解決を図らなければならない重要な課題とされています。その解決法の開発は急務で,世界の先進諸国においては,重点課題の1つと言っても過言ではありません。
「竹活性炭」の消臭能力に着目,ブタの臭気低減化と健康被害・肉質への影響を調査
竹活性炭は消臭能力に優れていることが知られていますが,日本国土の森林においては竹の繁茂速度は速く,土地への浸食が激しく,伐採しても容易には排除できない状況にあり,いわゆる“土地の厄介者な植物”とされ,竹資材は有効活用に苦慮されています。秋山さんは,SDGsの観点からもこれら竹資材を有効活用し「たとえ強い臭気であっても消臭能力に優れた竹活性炭であれば効果を示すのではないか」と考え「竹資材の活性炭」に着目しました。
秋山さんは,通常の竹炭の表面積をさらに1000倍以上に拡大し,市販の活性炭の吸着力を飛躍的に高めた竹活性炭に注目。家畜の中でも,特に臭気の強いとされるブタの飼料に添加・給与して肥育し,家畜排せつ物の臭気低減化が可能かどうか,またブタの健康性への影響や産肉性への効果を同時に検討しました。結果として,竹活性炭の給与は,即効性のある家畜排せつ物の臭気抑制効果をもたらし,またブタへの健康被害や肉質を低下させることもなく,むしろ産肉性を高める効果が期待できるとも考えられました。このことから,竹活性炭は養豚生産において臭気問題解決という点で実践的な飼料添加素材となることが期待できますし,SDGsという観点からも注目される飼料素材であると考えられます。
現在,受賞者の秋山さんは,株式会社サイボクファームに勤務しており,ブタの生産で重要な繁殖部門を担当しています。秋山さんは「今回の技術成果を,SDGsの観点からも職務に活かしていきたい。また,そもそもブタのことが大好きで,今の仕事に遣り甲斐を感じています。ブタが大好きという気持ちと食材生産という職務の間で,感情の整理が必要ですが,彼らが生きている間は一生懸命に幸せな環境にしてあげたいと考えています。」とコメントしています。
東北畜産学会優秀発表賞とは
東北畜産学会は1951年(昭和26年)に設立されました。本学会は,産官学の研究者・技術者が一堂に会して畜産に関する技術,研究成果の発表の場としてこれまで発展してきました。東北畜産学会の研究発表やシンポジウムの機会を,若手研究者の養成,研究手法の発見,生産現場での具体的研究課題の発掘,共同研究立案や情報交換の場としてそれぞれ位置づけ,これまで以上に積極的に活動することが学会の活性化ひいては産業の活性化につながると考えます。「優秀発表賞」は,規定により令和4年度末において40歳未満の一般講演者の中から優秀な研究発表を行った者に授与されるものです。
- 2022年度 東北畜産学会 8月29~8月30日
- 会場:東北大学大学院農学研究科・農学部
指導教員プロフィール
・須田 義人(すだ よしひと):食産業学群教授
複数の研究機関や大学と共同で,動物の能力(免疫,抗病性,成長,肉質など)を人にとって望ましい方向に遺伝的に改良する研究や健康性を維持向上させる機能性乳酸菌の開発 を行っています。
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- 予察情報と農家の意思決定について研究しています(シーズ集)