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22.05.31
北川珠莉さんと鈴木准教授がインタラクション2022でインタラクティブ発表賞を受賞/価値創造デザイン学類
価値創造デザイン学類鈴木優研究室に所属する北川珠莉さんと鈴木優准教授が、インタラクション2022 にて「珠の位置認識と操作手順の重畳表示を用いたそろばん学習支援システム」の研究発表を行い、インタラクティブ発表賞を受賞しました。
鈴木研究室では、インタラクションデザインの観点から、未来のデジタルメディアや生活環境、情報システム、心や体を動かす力を持つメディアをデザインし、創造する研究を行っています。その中のテーマのひとつとして、「体験のデザイン」に取り組んでいます。初めて使用する道具やシステム等の人工物を上手く使いこなすには、人工物側のデザインが重要となります。人工物が人に与える体験をしっかりと考え、デザインに落とし込んで実装することで、誰もが使いやすい道具やシステムの研究開発を行っています。
インタラクションデザインとは ふたつ以上のものが互いに影響を及ぼし合うときの行為や動作のことをインタラクションと呼びます。インタラクションデザインとは、インタラクションを生み出したり引き出したりするようなデザインのことを指し、インタラクションデザインはその使用者が得る体験とその満足度に大きく寄与します。 |
そろばん特有の計算手順や運指を修得できるそろばん学習支援システムを開発
そろばんにおける数の表し方や指の使い方、計算手順はそれ特有の特徴があります。たとえば、数は五珠1つと一珠5つの組み合わせとして十進数で表現され、珠の上げ下げに使用する指や部位は珠の種類により異なります。また、計算するためには5の補数と10の補数という考え方を理解する必要があります。これらは繰り返しトレーニングを重ねることで修得していくことができますが、特に計算手順については式の分解と合成が必要であり、これをサポートなしに修得することは困難であると言えます。
本研究ではこれらの問題を解決し、ひとりでもそろばん学習を進められるシステムを開発しました。本システムは、運指情報や計算支援情報をそろばんの珠や机上に重畳表示するものであり、学習者の計算状況に合わせてそれらの情報が適切に提示されます。運指情報はアイコンとして次に動かす珠の上に重畳表示され、計算支援情報は数式よその分解や合成を解説したイラストとして机上に表示されます。学習者はそろばん特有の計算手順を含めたそろばんの使い方を正しく理解しながら学習を進めることができます。
本システムは、鈴木研究室が開発したそろばんの珠が表す数をリアルタイムに検出する技術をコアとして開発されています。珠検出技術は単純な背景差分法をベースとした画像処理にて実装されていますが、隣接する珠との区別や環境光の排除、操作する指によるオクルージョン処理などが実現されています。
今回開発したシステムは、画像処理ベースの手法で実装された珠検出手法と、一般的なプロジェクタを用いた重畳表示手法を用いていますが、これらの手法はさまざまな学習支援に応用することができます。たとえば、ピアノや木琴等の楽器演奏支援はその好例です。実装に高価な機材や高い計算能力が不要であることも応用の幅を広げてくれます。
テクノロジーで人間の能力を向上/拡張させたい
テクノロジーは人々の生活を便利にする一方で、正しく活用しないと人々は知らないうちに人間としての能力を失っていくことが危惧されます。鈴木准教授は人間とテクノロジーとの間に適切な関係性を持たせるデザインが重要であると考えており、人間の能力を向上させたり拡張させたりする方向にテクノロジーを活用することを目指しています。今回のそろばん学習支援システムはそのような思想に沿ってデザインされたものであり、学習者自身の能力向上に寄与します。鈴木准教授は、「教育はどれだけテクノロジーが進化しても重要なものであり、それを支える学習支援に関する研究は人類の持続的な発展に貢献するテーマであることから、体験のデザインという観点を取り入れながら今後も継続的に取り組んでいきたい。」とコメントを寄せています。
インタラクション2022-インタラクティブ発表賞
「インタラクション」は1997年より毎年開催されている情報処理学会のシンポジウムで、ユーザインタフェース、CSCW、可視化、入出力デバイス、仮想/拡張現実、ユビキタスコンピューティング、ソフトウェア工学といった計算機科学、さらには認知科学、社会科学、文化人類学、メディア論、芸術といった人文科学の研究者および実務者が一堂に会し、インタラクションに関わる最新の技術や情報を議論する場です。近年の参加者は600〜700人に達し、本分野に関する研究とその成果に対して高い関心が寄せられています。
インタラクティブ発表は、発表者による研究成果のデモンストレーション、および発表者と参加者による双方向のコミュニケーションにより実施されるもので、インタラクティブ発表賞は、参加者全員の一般投票によって優れたインタラクティブ発表者を選出し、授与されるものです。
- 研究名:「珠の位置認識と操作手順の重畳表示を用いたそろばん学習支援システム」
- 受賞者:北川 珠莉、鈴木 優
指導教員プロフィール
・鈴木 優(すずき ゆう):事業構想学群 准教授
人・モノとコンピュータを繋ぐディジタルメディアの可能性をヒューマン・コンピュータ・インタラクションの観点から探求し、その開発や応用を通じて人・モノとコンピュータの関係性をデザインする研究を行っています。
<参考>
DSC Dialog #05 うつし UTSUSHI/DSC×WOW いのりのかたち
北川珠莉さんと鈴木准教授がインタラクション2022でインタラクティブ発表賞
仙台市消防局のプロモーションデザインが総務省消防庁の予防業務優良事例表彰で優秀賞
仙台市消防局(太白消防署)のプロモーションデザインに挑戦(2021年度)
仙台市消防局(太白消防署)のプロモーションデザインに挑戦(2020年度)
大澤あかねさんと鈴木准教授がインタラクション2020でインタラクティブ発表賞を受賞
事業構想学群の鈴木研究室制作「Rolly Rolly」が、デジタルアート展で入賞
MYU Dialog #03 対談:テクノロジーを面白さに変え、メッセージを届ける
「人の行動をデザインする」価値創造デザイン学類/模擬講義
「大和町少年少女発明クラブ」デザイン体験ワークショップを開催
大崎市の有備館まつりでプロジェクションマッピングを実施
鈴木研究室ウェブサイト
大崎市民ギャラリー「おばけみっけ!てらして さがして かくれんぼ」(2022年度)
大崎市民ギャラリー「界面のデザイン展#1」(2021年度)
大崎市民ギャラリー「あととかたち展」(2019年度)
大崎市民ギャラリー「まにまに展」(2018年度)