宮城大学長メッセージ

幸福な人口縮小社会をデザインする先鋭的な大学へ

「私はどう生きるのか」。人は皆、常にこのことを問い続けながら、生きています。

今、私たちは、かつて経験したことのない大きな時代の転換点に立っています。大規模な気候変動、国際情勢の不安定化、そして生成AIに象徴される技術革新の波は、私たちのこれまでの「当たり前」や価値観を根本から揺さぶっています。

この不確実なVUCAの時代において、大学とは何を成すべき場所なのでしょうか。かつての大学は「正解」を教える場であったかもしれません。しかし、知識の検索や整理をAIが担う現代において、学びの意味は劇的に変化しました。これからの時代、社会が私たちに最も求めるものは、単なる知識の習得ではなく、生涯にわたって能動的に自分をアップデートし続ける姿勢、そして自分自身の意志で「問い」を立て、解決する力です。大学での最も重要な学びは、これらの姿勢、力を身につけること、そのための学び方を学ぶことではないか、と私は考えています。

宮城大学が1997年の建学以来掲げてきた「高度な実学」の本質は、専門的な知識、技術の修得にとどまらず、学問の枠を超えた広範な実践的知識、すなわち「総合知」にあります。本学の学び、研究は、常に社会や地域と密に繋がっています。現場で得られる「生きた知恵」や「重層的な視点」こそが、AIには代替できない、人としての揺るぎない基盤となります。多様な価値観を統合して課題を俯瞰し、解決策を導き出す「確かな実践力」こそが、本学の特長です。

宮城大学は今、さらなる進化の途上にあります。私たちは現在、学群を再編・強化する大学改革を検討しています。その核となるのが、「デザイン思考」により未来を構築し、社会を変革するフレームであるデザイン創学です。これからの社会では、単に問題を解くこと以上に「どのような社会を創りたいか」というビジョンを自ら描き、具体的な政策や事業として形にするデザイン力が不可欠です。私たちは、看護、事業構想、食産業といった専門領域をさらに深めつつ、それらを横断して新たな価値を創出する新学群の設置、GXなど地域課題に直結した副専攻の開講やカリキュラムの改革を視野に入れています。この改革により、宮城大学は「地域の課題を解決する場」から、さらに一歩進んで「未来社会をデザインする先鋭的な知の拠点」を目指します。

宮城大学は、在学する学生に対する教育はもちろんのこと、小中学生、高校生への入学前教育から、社会人を対象としたリカレント教育まで、人の生涯基軸に沿った教育を展開しています。今後は、さらにこれを進展させ、地域における「生涯を通しての学びの場」として構築していきます。地域、社会の皆様には、今後とも幅広いご支援をいただけますよう、お願いいたします。

宮城大学長
佐々木 啓一


略歴

佐々木 啓一(SASAKI Keiichi)

昭和60年3月 東北大学大学院歯学研究科歯科学専攻修了 博士(歯学)取得
平成12年2月 東北大学教授(歯学部)
平成12年4月 東北大学大学院教授(歯学研究科)
平成22年4月 東北大学大学院歯学研究科長・歯学部長
令和02年4月 国立大学法人東北大学副理事(事業創造担当)、東北大学共創戦略センター長
令和02年9月 東北大学副学長(共創戦略担当)
令和03年4月 国立大学法人東北大学理事・東北大学副学長(共創戦略・復興新生担当)グリーン未来創造機構長
令和05年4月 宮城大学学長、公立大学法人宮城大学副理事長 東北大学 参与・名誉教授


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