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21.08.13

7/7~11仙台三越で分身ロボットOriHimeを用いたICT在宅農福連携モデル実証実験を行いました/作田研究室・滝口研究室

農福連携とは,障害者等が農業分野で活躍することを通じ,自信や生きがいを持って社会参画を実現していく取組です。農福連携に取り組むことで,障害者等の就労や生きがいづくりの場を生み出すだけでなく,担い手不足や高齢化が進む地域の農業・食品分野において,新たな働き手の確保につながる可能性があります。
この取り組みは,昨年度のお歳暮販売時の実証実験に続く第2弾として,担い手不足を含む農業・地域の振興と障害者就労の2つの課題を ICT で同時に解決することを目指し,7月7日(水)~11日(日)にかけて,仙台三越で分身ロボットOriHimeを用いたICT在宅農福連携モデル実証実験を行いました。

希望する人誰もが遠隔操作で働けることにつながれば,農業・福祉両方の分野に多くのメリット

今回の実証実験に,三重県から参加し分身ロボットで接客を行った柳田さんは「これまで就労の選択肢が限られていたが,OriHimeを使うことで就労の幅が増えるのではないかと強く感じている。まだ実験段階だが,これが当たり前のようになって,希望する人誰もが遠隔操作で働けることにつながれば」と期待を寄せています。

実証実験を担当する食産業政策研究室の作田竜一教授は「今は実験だが,これを持続可能な取り組みにしていくことが非常に大事。一つ一つの課題をクリアしていくことが私たちの務めでもある。農業の分野と障害者の両方の分野に多くのメリットがあるこの取り組みを実現するために引き続き取り組んでいきたい」また,マーケティング・コミュニケーション研究室の滝口沙也加助教は「分身ロボットを通じて障害者等との会話を楽しみに来店したお客様も見受けられました。実用化に向けての課題はありますが,こうした企業の取り組みや向き合い方は今後の店頭の在り方を考えるひとつのきっかけになったと思います」とコメント。

今回の実証実験では,農業や食品の生産側だけでなく接客・販売のプロである百貨店にも参加いただいて販売方法やお客様対応まで全体の流れとして取り組みを行うことで,重度身体障害者がICTを活用した遠隔就労を持続可能なものとするために必要な様々な要素について気付きを得ることができました。この成果を基により魅力的で実践的な重度身体障害者によるICT在宅就労の実現に向けた研究を進めます。また,将来的な新型コロナウイルス対策が落ち着いた状態も含めた持続可能な取り組みとして検討を行う必要があると考えています。

(参考)農福連携の推進でSDGs(持続可能な開発目標)の10の目標を推進できるとされています。

<以下のメディアからご取材いただきました>
7月26日 ミヤギテレビnews every.
7月08日 仙台経済新聞
7月07日 ミヤギテレビnews every.
7月07日 TBC東北放送
7月07日 KHB東北放送

研究者プロフィール

食の安全政策のみならず,現代社会の幅広い課題を「食と農」,「地域」の幅広い観点から政策課題として捉え,講義や調査研究,社会への発信を行っています。また,食と農がそもそも有する持続可能性に特に着目し,SDGs(持続可能な開発目標)が目指す世界の実現への貢献も研究対象としています。

食・食品を対象として,消費の意味や価値を明らかにする質的手法の検討や消費者ニーズの分析に関する研究を行っ
ています。顧客を正しく理解することで,企業と顧客とのギャップをできるだけ埋め,多くの人にとってよりよい暮
らしになるよう,マーケティングの視点から考えていきます。

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