新着情報

23.10.06

9/23 DSC STUDIO 2023『未来とともにある「テマヒマ」の暮らし』Day1オープンレクチャを開催しました/デザインスタディセンター

宮城大学デザインスタディセンター(DSC)とアルプスアルパイン株式会社の共同研究の一環として開発された『未来とともにある「テマヒマ」の暮らし』をテーマとしたデザイン教育プログラムを9月~11月にかけて展開しています。初回となるオープンレクチャを9月23日に実施しましたのでお知らせいたします。

手を動かすことで見えることを考え、デザインの視点から未来に向けてアクションを
テーマ『未来とともにある「テマヒマ」の暮らし』

このデザイン教育プログラムは、設定されたテーマに対して“デザインとは何か”という問いを投げかけ、問題提起と活動に取り組むプロセスを通して、学生・教職員含め“デザインについて考える・デザイン思考を理解する”ことを目的としたものです。今回のテーマは『未来とともにある「テマヒマ」の暮らし』。テクノロジーや産業の進化、社会情勢の変化により、その役割や機能が日々変化している中で「手を動かす」という行為は、この先どこへ向かうのでしょうか?私たちは今、手を動かし時間と労力をかける「テマヒマ」から、どのような新しい価値を見出していくことができるでしょうか?「手を動かすこと」に潜在する可能性を探索し、『ともにある暮らしの未来』のデザインに取り組みます。

Day1:DSCオープンレクチャ・WSオリエンテーション

イノベーションのトッププレーヤーのファシリテーションのもと、文化人類学(伝統)やテクノロジー・アート(現代)の専門家によるレクチャー、地域の先進的な思想を訪ねるフィールドワークを交えた全6日間のプログラムになります。9月23日に行われた初回プログラムでは、田村大氏(Re:Public inc.)、鞍田崇氏(明治大学 准教授)をゲストとしたレクチャーと、大山貴子氏(fog inc.)によるキックオフワークショップを実施しました。

田村大氏レクチャー「-able City」

田村氏は、2018年より鹿児島県薩摩川内市にて、「サーキュラーシティ」の実現に取り組んでいます。商品・サービス開発において、自社リソースのみを活用したクローズドな環境下でのイノベーションが限界を迎える中、知識や情報の境界をなくした「オープンイノベーション」が今注目を集めています。田村氏は、課題解決型の「スマートシティ」と比較して「-able City」という考え方を紹介し、人々の可能性を広げるための空間デザインや、そのためのテクノロジーこそが今必要ではないかと問いかけます。

鞍田崇氏レクチャー「いまなぜ民藝か」

哲学者である鞍田氏は、著作に『民藝のインティマシー「いとおしさ」をデザインする』などがあり、民藝「案内人」としてメディアでもよく知られています。民藝(民衆的工芸)は各地の風土から生まれ、名も無き職人の手から生み出された日常の生活道具を指します。鞍田氏は、それら民藝における「用に即した愛しさや美しさ」についての様々な考察を、文化人類学の視点から紹介しました。民藝を通した人間の感性や可能性に対する深いまなざしは、図らずも田村氏の講演内容と滑らかにつながる内容となりました。

キックオフワークショップ「手を動かすことで見えること」

後半では、企業・自治体向けに実践型研修事業や人材・組織開発事業などを手掛けるfog, inc.の大山貴子氏によるキックオフワークショップが行われました。はじめに、テーマとなる「手」の感覚を深く意識するため参加者が手をつなぎあい、普段は深く意識することのない手の感覚を研ぎ澄ましました。その後、「手を動かすこと」に内在する様々な意味をチームに分かれてディスカッションしながら考察していきました。これが次回以降の「手を動かすこと」を考える出発点となります。

デザインスタディセンター担当教員である佐藤宏樹准教授は「DSCのワークショップシリーズも4回目となりました。今回はアルプスアルパイン株式会社様と共同研究という形でプログラムを開発する新しい試みとなっています。Day2以降も、山形県3か所へのフィールドリサーチや、テクノロジーとアートに関するゲスト講演など魅力的な内容が続きます。今後も是非DSCの活動に注目してください。」とコメントしています。

ゲスト・ファシリテーター紹介

ゲスト

鞍田崇(明治大学 准教授)第1, 2, 4, 6回

1970年兵庫県生まれ。哲学者。京都大学大学院人間・環境学研究科修了。現在、明治大学理工学部准教授。近年は、ローカルスタンダードとインティマシーという視点から、現代社会の思想状況を問う。著作に『民藝のインティマシー 「いとおしさ」をデザインする』(明治大学出版会 2015)など。民藝「案内人」としてテレビ番組「趣味どきっ!私の好きな民藝」(NHK-Eテレ)にも出演(2018年放送)

筧康明(東京大学 教授)第4回

1979年京都生まれ.インタラクティヴ・メディア研究者/デザイナー。慶応義塾大学環境情報学部准教授、博士(学際情報学)。人間の五感や物理素材の特性とデジタル情報を掛け合わせ、身体、道具、コミュニケーションを拡張するインタラクティヴ・メディアを開発する。エンジニアリング/アート/デザインの分野をまたがって活動を展開し、シーグラフ、アルス・エレクトロニカ・フェスティヴァルなどでの展示や平成26年度科学技術分野の文部科学大臣表彰若手科学者賞や2012年グッドデザイン賞BEST100などを受賞。また、アートユニットplaplaxとして、主に商業分野におけるメディア・テクノロジー/表現の展開可能性を開拓する。

ファシリテーター

田村大(Re:Public inc.)

神奈川県生まれ。幼少期を福岡県・小倉で過ごす。東京大学大学院学際情報学府博士課程単位取得退学。新卒で博報堂に入社後、デジタル社会の研究・事業開発等を経て、株式会社リ・パブリックを設立。欧米・東アジアのクリエイティブ人脈を背景に、国内外で産官学民を横断した社会変革・市場創造のプロジェクトを推進している。2014年、福岡に移住し、九州を中心とした活動に移行。2018年より鹿児島県薩摩川内市にて、「サーキュラーシティ」の実現に向け取り組んでいる。現在、九州大学、北陸先端科学技術大学院大学にて客員教授を兼任。

大山貴子(fog inc.)

ニューヨークにて新聞社、EdTechでの海外戦略、編集&ライティング業を経て、2015年に帰国。 日本における食の安全や環境面での取組みの必要性を感じ、100BANCH入居プロジェクトとしてフードロスを考える各種企画やワークショップ開発を実施後、サーキュラーエコノミーの実現を目的としたデザインコンサルティング会社、株式会社fogを創業。「循環をつくる( )をつくる会社」として、サーキュラーエコノミー及び循環型社会の実装を、人材・組織開発から行う。直近では、10月末にオープンしたキッチンやリビングラボを兼ね備えた施設「循環する日常をえらぶラボ "élab"(えらぼ)」を東京都台東区にオープンさせ、暮らしにおける循環の実践を行っている。

開催概要

実施場所:宮城大学 大和キャンパス デザイン研究棟1F(9/30フィールドワークを除く)

9月23日(土)12:00 - 17:00 レクチャー1(田村大+鞍田崇)とキックオフ(大山氏)
9月30日(土)9:20 - 20:30 フィールドリサーチ:工房ストロー+吉野デザイン事務所
10月6日(金)18:00 - 19:30 ワーク①
10月21日(土)13:00 - 17:00 レクチャー2(鞍田崇+筧康明)および中間講評
10月27日(金)18:00 - 19:30 ワーク②
11月3日(金祝)13:00 - 17:00 最終講評会(田村大+鞍田崇)
デザイン思考WSシリーズ担当教員
  • 佐藤 宏樹:事業構想学群准教授
  • 土岐 謙次:事業構想学群教授
  • 本江 正茂:事業構想学群教授
  • 貝沼 泉実:事業構想学群特任助教
  • 小松 大知:事業構想学群特任助教

宮城大学デザインスタディセンター

デザインを通して、新しい価値をどう生み出していくか。日々変化する社会環境を観察し、多様な課題を解決へと導く論理的思考力と表現力、“デザイン思考” は、宮城大学で学ぶ全ての学生に必要とされる考え方です。ビジネスにおける事業のデザイン、社会のデザイン、生活に関わるデザインなど 3学群を挙げてこれらを担う人材を育成するため、その象徴として 2020 年にデザイン研究棟が完成、学群を超えた知の接続/地域社会との継続的な共創/学外の先進的な知見の獲得を目指して、企業との共同プロジェクトや、デザイン教育・研究を展開する「デザインスタディセンター」として、宮城大学は東北の新たなデザインの拠点をつくります。

MYU NEWS #03

宮城大学デザインスタディセンターでは、2021年の開設以来、学群の枠を超えた知の接続/地域社会との継続的な共創/学外の先進的な知見の獲得を目指し、東北の新たなデザインの拠点として、さまざまな実験的なプロジェクトが展開されています。

TOP