新着情報

26.02.19

1/10-11宮城大学デザインスタディセンターWS『サウンド・ハント』を実施しました

宮城大学デザインスタディセンター(DSC)は、2022年より、学生・社会人等の所属を超えた方々が集い、デザインを共に考えその可能性を探るデザイン思考WSシリーズを展開しています。2025年度は1月10日-11日の2日間で『サウンド・ハント』をテーマとしたワークショップを開催しました。​​​​​​

テーマ「サウンド・ハント」
街に隠れた音を集めて編集しよう

DSCのデザイン教育プログラムは、設定されたテーマに対して“デザインとは何か”という問いを投げかけ、問題提起と活動に取り組むプロセスを通して、社会人・学生・教職員含め“デザインについて考える・デザイン思考を理解する”ことを目的としたものです。今回のテーマは「サウンド・ハント」。普段は意識することの少ない“街の音”を集め、それらを編集・加工する体験を通して、音や街の未来を新たな視点から考える取り組みです。

小鳥のさえずり音、自動車の走行音、レジの機械音声など、街を歩けば、さまざまな音が自然と耳に流れ込み、私たちはそれらをいつの間にか受け身で受け取っていることが多いかと思います。本企画は、私たち自身が主体的にサウンド(音)をハント(狩り)する体験を通して、音との関係性を改めて考える機会にしたいという思いから生まれました。

ゲストには2025年度より宮城大学事業構想学群に着任されたサウンドデザイナー長崎智宏准教授を迎え、フィールドワーク・ワークショップを実施。電子機器メーカーや音楽に携わる一般の方13名、学生9名、合計21名が参加されました。

DAY1/レクチャー・フィールドワーク・グループディスカッション

1日目は、長崎先生によるレクチャーからスタート。人や動物の声、自然界や都市から発せられる音など、身の回りの音を録音・加工して音楽に変える「ミュージック・コンクレート(具体音楽)」をキーワードに、録音テープを物理的に引っ張り音を変化させる“テープ編集”など、現代につながる転換点となったサウンド表現手法の歴史を紹介しました。音楽・美術・テクノロジーの領域が重なり合い拡張するサウンドデザインのおもしろさを伝えると同時に、「いま私たちはどんな音の中で暮らしているのか?」という視点で街を観察することを参加者に投げかけます。

その後、グループに分かれてサウンド・ハントへ出発。仙台市内の広瀬通り〜西公園〜定禅寺通りを歩き、耳を澄ましながら気になった音に録音機器(ガンマイク)を向けて音を集めました。参加者からは『音に注目して街を歩くと、聴き慣れない音が聴こえる。いつもは無意識に必要な音を聴き分けているのかな』という感想も。

会場に戻り、集めた音を披露すると、大通りでは車のエンジン音や店舗の入店音、自動音声など人工的な音が比較的多く聴かれました。一方で、公園に近づくにつれて、子どもの遊ぶ声や鳥の鳴き声など、自然や人が発する音へと変化していきます。他にも枝や石を落としたり、遊具を動かしたりとグループごとに工夫して様々な音をハントしていました。長崎先生は『短い距離で都市から自然へ移り変わる音のグラデーションに仙台らしさを感じる。これだけたくさんの音が集まったことで、音の多様性を体験してもらえたと思う』とコメント。最後に編集ソフトの技術的なレクチャーを受けながら1日目は終了となりました。

DAY2/レクチャー・グループワーク・プレゼンテーション

2日目は長崎先生が携わった大阪・関西万博や自動車関連のサウンドデザインについて触れ、[長崎智宏1] 最新の音づくり事情のおもしろさを、経験を交えて紹介しました。グループワークでは、参加者が持ち寄った「良いワンショット音」がする物や「サウンドが良くデザインされている」と思う例を発表し、その音が持つ印象を分析。柔らかい・明るい・重い…などの形容詞で言語化すると同じ音でも人によって感じ方が分かれた。ある参加者は金属の透き通った音に対して、非金属の濁った音を山菜の“苦味”の味わいに例えました。担当教員の土岐先生は『どうやら音の感じ方には触覚や味覚など他の感覚と紐付けないと理解できないものがありそうで、そこがおもしろい』とコメントしました。

午後はいよいよ音づくり。2日間で集めた音を加工・編集し、何かの音と置き換えるという課題に対してグループで議論を重ね、編集ソフトでの作業中は試行錯誤の音が飛び交います。最終プレゼンテーションでは、各グループの自由な発想で作り上げた音のコンセプト説明に期待が高まる中、音が鳴るたびに会場をワッと沸かせていました。

[グループ発表内容] 人工的な音で再構築したすず虫の音色、キラキラ感のあるゲームのボタン音、Netflixサウンドロゴの再提案、アーバンベアとの共存をテーマにしたサウンド、ペットボトルのフタを開閉する音、パンダが走りまわるアニメの効果音。

参加者からは『音づくりのハードルが下がった、もっと挑戦してみたい』『身の回りの音も誰かがつくっていると思うと親しみが湧いた』『自社のサウンドロゴをつくろうと思う』という感想をいただき、皆さん音への関心が深まった様子でした。

担当教員の本江先生からは『興味はあるが苦手意識で手を出せていないものは、ちょっとやってみると意外とやれるもの。主体的に参加できる余地があるということに気づいてほしい』。土岐先生は『当たり前のテーマに注目してじっくり向き合う。分析と整理をすることで、自然と“受け取る側”から“作る側”のモードになってくる。この手法は、分野に関わらず皆さんのお仕事にも活かせると思います』とコメント。

最後にゲストの長崎先生は『ノートパソコンとヘッドホンさえあれば、自分で音を探しに行かなくても、音源の購入や自動生成ソフトなどでも、サウンドデザインはできてしまいます。音に向き合い楽しむことの結果としてこのワークショップ中にたくさんのアイディアが生まれたことが、とても良かったなと思います。たまに耳を澄まして、今回の経験を音づくりに役立ててもらえたらうれしいです』 と振り返りました。

ゲスト・ファシリテーター

長崎 智宏 / Tomohiro Nagasaki

2025年度より宮城大学事業構想学群准教授。国内外の企業コマーシャルやサウンドロゴ、アプリや自動車のサウンドデザインを手掛ける。その知見をもとに音のヒトの関わりについて実験心理学の手法を用いて研究。主な参加作品として「大阪・関西万博2025 シグネチャーパビリオン『null²』」「祝彩緑彩バーチャルすずめ祭り(仙臺緑彩館)」、研究として「持ち運べる聴覚実験システム」など。

貝沼 泉実 / Izumi Kainuma (ファシリテーター)

宮城大学事業構想学群特任准教授、一級建築士事務所Kai Architects代表。宮城大学事業構想学部デザイン情報学科卒業、東北大学大学院工学研究科修了。青木淳建築計画事務所にてLOUIS VUITTONメイソン大阪御堂筋店等担当後、KAI ARCHITECTSを設立。KAI ARCHITECTSではルイ・ヴィトン仙台藤崎店外装デザイン(2024年)、青葉通仙台駅前社会実験の空間デザイン(2022年)、等を手掛けている。

開催概要

イベント名 DSCワークショップ「サウンド・ハント」
日時場所・内容

DAY1

2026年1月10日(土) 10:00-18:00、

レクチャー, フィールドワーク, グループディスカッション

@仙台協立第1ビル4F

DAY2

2026年1月11日(日) 10:00-18:00、

レクチャー, グループワーク, プレゼンテーション

@仙台協立第1ビル4F

参加料等 無料、参加にはお申込みが必要です
主催 宮城大学デザインスタディセンター
お問い合わせ

宮城大学特任准教授 貝沼 kainumai@myu.ac.jp

※担当教員:事業構想学群 本江 正茂、土岐 謙次、佐藤 宏樹、貝沼 泉実、小松 大知

宮城大学デザインスタディセンター

DSCは、宮城大学を中心として学生・地域の事業者・自治体職員等が集い、共に学び、共にプロジェクトを展開する共創的な教育研究プラットフォームです。多様なバックグラウンドを持つ参加者の交流を通じて、俯瞰的な視座や実践方法を獲得したり、地域資源をデザインの視点から探索してその価値を再評価・創造する活動を2021年から行なっています。主催するプログラムでは、様々な分野でイノベーションに携わるゲストを招き、講演、フィールドリサーチ、制作、プレゼンテーションなどの流れを通してその考え方や実践方法をプロジェクト形式で学んでいます。学内外の学生のみならず地域の企業やクリエイターも参加し、発展的な学修、新規事業創出、社内研修、地域文化振興、ポートフォリオの充実など、様々な目的に活用されています。

TOP