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26.02.02

風間教授と看護学群4年生が「急性心筋梗塞治療後の“虚血再灌流障害”で起きうる心電図変化のメカニズム」を明らかに/看護学群

看護学群の風間逸郎教授は,病態生理学・内科学・一般生理学を専門分野としています。また、内科の専門医として臨床にも携わっており、主要な研究のひとつとして「心疾患の病態生理と心電図異常のメカニズム解析」をテーマとした研究も行っています。このたび、風間教授が研究指導をしている看護学群4年生(齋藤奈保子さん、渡邉怜大さん、齊藤愛奈さん)が、「急性心筋梗塞治療後の虚血再灌流障害で見られる心電図変化とメカニズム」をウシガエルの心臓を用いて証明しました。

本研究報告は、2月1日付けで「医学と薬学」2026年2月号(自然科学社)に原著論文として掲載されています。看護学群4年生が “心臓カテーテル治療後の虚血再灌流障害による心電図変化とメカニズム―ウシガエル心臓を用いた検討―” をテーマとした卒業研究を行うにあたり、風間教授がその指導を行いまとめたものです。今回、和文雑誌に発表した論文では、看護学群4年生が筆頭著者となっています。

急性心筋梗塞治療後に起きる“虚血再灌流障害” とは

急性心筋梗塞とは、心臓を養う血管(冠動脈)に起こる動脈硬化により、心臓に血液が十分に行き渡らなくなり(虚血性心疾患)、心臓の筋肉が壊死まで起こしてしまう状態です。心筋梗塞は命にかかわる大変危険な病気であるため、緊急で心臓カテーテルにより、閉塞した冠動脈の血流を再開させるための治療(再灌流療法)が行われます。通常、再灌流療法によってすぐに虚血が改善しますが、中には逆に、急激な血流の再開によって心臓の筋肉が傷害されてしまう場合があり、“虚血再灌流障害”とよばれます。

これまで知られてこなかった“虚血再灌流障害”で起きる心電図変化のメカニズム

急性心筋梗塞が起きると、心筋の壊死を反映して心電図上でST部分の上昇が見られ、早期診断のための重要な指標になります。

<参考>

再灌流療法によって心筋の虚血が改善するのに伴い、通常、このST部分の上昇は消失していきますが、再灌流障害が起きた患者さんでは、再びST部分が上昇することが報告されています。再灌流障害の原因として、血流再開に伴って生じる活性酸素種による心筋の傷害が考えられていますが、心電図変化が起きるメカニズムなど、詳しいことは分かっていませんでした。

ウシガエルの心臓を用いて擬似病態モデルを作成し、心電図異常の再現に成功

今回の研究は、ウシガエルの心臓を活用して虚血再灌流傷害の擬似病態モデルを作り、その“心電図異常のメカニズム”を再現し、解析を行ったものです。解析の結果、心臓への過酸化水素水の投与により、心電図上でST部分が経時的に上昇していくことが明らかになりました。さらに、心電図変化に伴い、個々の心筋細胞の興奮を示す活動電位の持続時間が短縮していくことも明らかなりました(図1)。

図1.過酸化水素水の投与で起きる心電図および活動電位波形の変化(齋藤、渡邉、齊藤、風間ら「医学と薬学」2026より引用)

擬似病態モデルを活用し、心電図変化のメカニズムまで明らかに

グリベンクラミドは糖尿病に対して用いられる薬のひとつですが、心筋に発現するカリウムチャネル(KATPチャネル)の働きを抑える作用があります。今回、グリベンクラミドの投与によって、過酸化水素水による心電図波形の変化(ST部分の上昇)が抑えられたことから(図2上)、虚血再灌流障害では逆に、KATPチャネルの活性化によってST部分の上昇がもたらされるメカニズムが考えられました(図2下)。

図2.グリベンクラミド投与による効果と虚血再灌流障害で起きる心電図変化のメカニズム(齋藤、渡邉、齊藤、風間ら「医学と薬学」2026より引用)

医療・看護の現場で急性心筋梗塞の患者さんに遭遇した場合、まずは迅速に診断し、早期の治療につなげることが重要です。そのうえで、治療によって起こりうる合併症についてもよく理解し、予測できるようにしておくことも大切です。本研究成果は,急性心筋梗塞の治療後に起きる合併症のひとつである”虚血再灌流障害“に対する、新たな診断や治療の糸口を明らかにしたといえます。

看護学群4年生-齋藤奈保子さんコメント

急性心筋梗塞後の治療は、多くの症例で血流が回復する一方、治療後に合併症が生じることもあります。今回の研究では、そのひとつである虚血再灌流障害に着目し、ウシガエルの心臓を用いて心電図変化の背景にあるメカニズムが明らかになりました。動物実験を通して、実際の変化を観察しながら研究を進めることで、病態生理や心電図への理解が深まり、知識の統合につながったと感じています。また、看護実践における適切な介入を考える上で、基礎的な学習の重要性を改めて認識しました。学会では、今回の研究内容を多くの方にしっかり伝えられるよう、発表準備を進めて参ります。

研究報告の詳細について

なお、本研究報告は、2月1日付けで「医学と薬学」2026年2月号(自然科学社)の電子版に掲載されています。なお、これまで本学看護学群の学生等を指導しながら発表してきた研究成果については、以下の和文・英文雑誌に掲載されています(いずれも風間教授が責任著者)。

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