Keyword
サウンドデザイン、音響体験デザイン、機能的サウンド
音響的側面にフォーカスした、人間とシステムとのコミュニケーションの実践
研究内容・実践活動
現代社会では情報量が格段に増え、人々は日々多くの選択に迫られ、「ながら作業」で複数の情報を同時に処理することが日常的になっています。こうした背景から、素早く感覚的に情報を伝える手段として「音を用いた情報提示」が関心を集めています。
私たちの身の回りの家電製品や自動車、ATMなどでよく耳にする「ビープ音」は、システムからの「フィードバック」として、操作が受け付けられたこと、エラーの発生、作業の完了などを知らせてくれます。しかし、情報過多の現代では、多くの機器が似たような音を出すため、どの音が何を示しているのか、識別が困難になっています。
こうした課題に応えるため、音を人とシステムのコミュニケーション手段と捉え、意図的に設計する「サウンドデザイン」という分野が注目されています。特に自動車業界では研究が活発に進められており、車両とドライバーの間で起こるさまざまなコミュニケーションに対応した、サウンドデザインの高度な応用が進んでいます。
サウンドデザインは音響工学の知識だけでなく、芸術、心理学、認知科学、経済学など多様な学問分野の知見と実践が交差する、共創的な領域です。
産学官連携の可能性
製品やサービスに独自の特徴を持たせたい、または差別化や付加価値を検討する際に、サウンドデザインは効果的な手段となります。スタイリングやスペックだけでは伝えきれない印象や品質を、音を通じて瞬時に伝えることが可能であり、より豊かなサービスデザインに応用できます。
当研究室では、サウンドデザインの研究開発において「音響体験ファースト」のアプローチを採用しています。多数の音を制作し、それらが実際の製品やサービスでどのような体験を生み出すかリアルな利用シーンで確認します。人々の体験を重視しながら、専門的な知見でプロジェクトを支え、初めてサウンドデザインに取り組むチームにも優しい開発プロセスを目指します。