Keyword
植物生理学、分子生物学、植物病理学
作物の成分育種に向けた植物機能性成分の探索
研究内容・実践活動
農作物の安定生産において病害の防除は不可欠であり、この防除には殺菌剤を中心とした農薬が一般的に用いられています。殺菌剤等は使用開始から数年で耐性菌が出現するため、常に既存の薬剤と異なった作用を持つ殺菌剤の開発が必須とされますが、近年は薬剤の候補物質が枯渇気味で、新たな農薬の開発が停滞しています。一方で、ごく少数ですが、殺菌性が無く、農作物が持つ防御反応を活性化することで病原体の感染・増殖を抑制する“プラントディフェンズアクティベーター”と呼ばれる農薬が開発されています。この種の薬剤は耐性菌の出現が見られない特徴があり、長い期間使用できる農薬として今後が期待されています。しかしながら、現時点では開発が難しく、なかなか新しい農薬が商品化されないのが現状です。
プラントディフェンスアクティベーターの新規開発を困難にしている原因の1つに、農作物の防御反応のしくみ、特に感染した病原体の増殖を抑制するのに必要な物質が明らかになっていないことです。当研究室では、防御反応ができなくなった様々な植物を用いて防御に必要な物質を探索しています。
産学官連携の可能性
- 現在探索している物質は、新たな農薬の元となる物質(リード化合物)となる可能性があります。
- 現在は、ゲノム編集技術や成分分析の技術を使って植物の病原体に対する防御反応に必要な物質を探索しています。これらの技術を用いて、植物が持つ機能性成分の探索等をお手伝いします。